<児童ポルノ法>改正案で結局どう変わる? 単純所持も「禁止」
「児童ポルノ禁止法」の改正案が6月5日の衆議院本会議で可決され、参議院の審議を経て今国会で成立する見込みです。児童ポルノ禁止法は、児童を性的な搾取・性的な虐待から守ることを目的とした法律で、当局が「児童ポルノ」と考える写真やビデオの製作・販売などを取り締まるものでした。しかし、今回の改正案では、児童ポルノを所持しているだけの「単純所持」も違法とされ、「自分の子どもの水着写真を所持しているだけで処罰の対象になるのでは」と心配する声が上がっています。児童ポルノ法は具体的にどのように変わるのでしょうか。
「性的好奇心」の有無がポイント
改正案のポイントは、まず「性的好奇心」の有無です。児童ポルノは所持していること自体が児童の性的虐待につながります。そこで所持そのものを禁止し、罰則化しようとしているのですが、問題はどんなものが「単純所持」に該当するのかはっきりしないことです。改正案の条文には「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とあります。自分の性的欲望を満たすために所持したら処罰するという一方、「性的好奇心を満たす目的」がどんな状況を指すのかが漠然としていて、明確になっていないのです。 また、「児童ポルノ」の定義もあいまいです。これまでの法律では、まず18歳未満を「児童」とし、(1)児童が性交、もしくは性交類似行為をしている(2)他人が児童の性器等を触ったり、児童が他人の性器等を触る(3)衣服のすべて、または一部をつけない児童の姿で性欲を興奮させたり刺激するもの――の3つを児童ポルノとしていました。 このうち(3)は定義があいまいだとしてたびたび議論になっていたのですが、改正案はここに「ことさらに児童の性的な部位が露出されたり強調されているもの」という文言を追加。現行法よりも限定的にしたものの、やはり児童ポルノの定義ははっきりしません。具体的にどんな写真や映像が児童ポルノにあたるのかが明確にならないと、警察に恣意的に解釈されたり、捜査権が乱用されて冤罪を生みかねません。こうしたことから改正案に対してはさまざまな懸念の声が出ています。