4歳のパレスチナ人少女は検問所で無慈悲に射殺された 「謝罪もない」と遺族は嘆く…透けるイスラエル占領の理不尽さ
ルカイヤ・ジャヒリンちゃん(4)は、母親や3人の兄弟と一緒に親戚の家を訪問した後、乗り合いタクシーで帰宅する途中だった。自宅近くにイスラエルが設けた検問所を、タクシーは何事もなく通過した。だが、その直後。後方から突然、何発もの銃弾がタクシーに浴びせられた… 【写真】パレスチナ人に広がる憎悪「兵士は車いすの娘に犬をけしかけて笑った」 23年
1月7日午後5時半ごろ、ヨルダン川西岸ベイトイクサでパレスチナ人の少女が射殺される事件があった。イスラエル警察の誤射とみられる。 イスラエルと、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘が昨年10月7日に始まり、イスラエル側で約1200人、ガザ側で3万人以上が死亡したと伝えられる。そんな中でイスラエルは、占領を続けるヨルダン川西岸でも「自衛」の名目でパレスチナ人への軍事作戦を強化し、子どもの犠牲も増えている。 パレスチナの地元人権団体の集計によると、イスラエル側の攻撃による巻き添えなどで昨年亡くなった西岸の子どもの数(東エルサレムも含む)は10~12月に急増し、統計が残る2000年以降で最多の121人となった。「世界の人々にはルカイヤちゃんの事件を通し、イスラエルの占領政策の理不尽さに気づいてもらいたい」。人権団体スタッフは切実に訴える。(年齢は取材当時、共同通信 菊池太典) ▽血で染まった服の袖
「血まみれで苦しそうにあえぐあの子をただ抱いていることしかできませんでした」。母親のアイシャさん(38)は自宅の庭に腰かけ、まな娘の最期を沈痛な面持ちで振り返った。乗り合いタクシーの中には8人いたが、ルカイヤちゃんだけが悲劇に見舞われた。 イスラエル警察が公開した監視カメラ映像では、ルカイヤちゃんやアイシャさんが乗っていたとみられる車両が検問所を通過した直後、後続車両が停車せずに検問所を突破。後続車が前の車両に接近する中、複数人が銃を構えながら後方から追いかける様子が確認できる。 アイシャさんは言う。「大きな音がしたけれど、何が起きているのかすぐには分かりませんでした。気がつくと車のガラスが割れていて、私の服の袖は隣に座っていたルカイヤの血で染まっていました」 ▽「テロへの対応」と言い張る警察 事件を受けてイスラエル警察は、発砲は「テロへの対応」だったとする声明を出した。地名を省くなどして要約すると次のような内容だ。