4歳のパレスチナ人少女は検問所で無慈悲に射殺された 「謝罪もない」と遺族は嘆く…透けるイスラエル占領の理不尽さ
こうした現状に抵抗するパレスチナ人を、イスラエル政府や入植者は軍事力で抑圧してきた。ガザでの戦闘開始後はいっそう緊張が高まり、国連人道問題調整室(OCHA)によると、昨年10月7日以降にイスラエル側に殺害された西岸のパレスチナ人(東エルサレムを含む)は、今年1月末時点で370人に上る。 ▽「イスラエル人なら対応違っていた」 国際非政府組織(NGO)「ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル」のパレスチナ支部は特に、子どもの被害に焦点を当ててきた。支部はルカイヤちゃんの事件も調査。調査責任者アエド・エクタイシュさん(56)は言う。 「父親のアフマドさんは知らせを受けて現場に駆け付けましたが、イスラエル警察はアフマドさんがルカイヤちゃんのそばに駆け寄ることすら許しませんでした。ルカイヤちゃんの遺体は地面に放置され、家族が近づくことができたのは、ルカイヤちゃんが撃たれてから7時間近くたってからだったようです」
「一家がイスラエル人だったら対応はまったく違うものだったでしょう。そもそもイスラエルが、検問所を設置してパレスチナ人の移動の自由を制限するような占領政策を続けていなければ、ルカイヤちゃんは殺されずにすんだのです」 イスラエル警察はルカイヤちゃんの事件を捜査する方針を示したが、エクタイシュさんは「捜査は時間がたつにつれてうやむやになり、だれも責任を問われることなく終わるのがいつものことです」と突き放す。 筆者は事件発生から1カ月となる2月7日、イスラエル警察の三つの広報窓口に捜査の進捗状況などを尋ねるメッセージを送ったが、いずれからも記事配信までに返信はなかった。 エクタイシュさんは、イスラエル人とパレスチナ人の人権にあからさまな差をつけて統治するイスラエルの占領政策は「アパルトヘイト(人種隔離)としか言いようがありません」と指摘した。そして、厳しい制裁を加えてかつての南アフリカの白人政権をアパルトヘイト撤廃に追い込んだように「国際社会がイスラエルを黙認せずに強い行動を起こすことが、いま求められているのです」と力を込めた。