家庭の「食用油廃棄問題」を解決する「サビにくいオイル」を生んだ、日清オイリオの“すごい技術”とは
● 日本企業の「すごい技術」で 食品ロス量が大幅減少! 野菜の価格高騰に米不足など、日本の食に関する問題が深刻化する一方で、国を挙げた食品ロスへの取り組みが、順調に進んでいることはご存じだろうか? 【画像】120日後も開けたての味!「サビないオイル」を実現した、「すごい秘術」 農水省が6月21日に発表した「食品ロス量(令和4年度推計値)※1」によると、2022年度の食品ロス量は472万トン(前年度比マイナス51万トン)。そのうち、食品関連事業者から発生する「事業系食品ロス量」、家庭から発生する「家庭系食品ロス量」ともに236万トン。「2030年度までに2000年度の数値547万トンを273万トンに半減させる」という目標を、8年前倒しで達成したという。 事業系・家庭系の食品ロス量は同数ではあるが、前年度と比べると、事業系がマイナス43万トン(マイナス15.4%)で、家庭系がマイナス8万トン(マイナス3.3%)と、減少量(率)には大きな開きがある。 それもそのはず、近年の食品製造業界では、加工食品の賞味期限を延ばすため、製造工程の見直しのほか、賞味期限と納品に関する業界内の商慣行を改める動きもあるのだ。これらの改善が奏功し、事業系の食品ロス量は前年度比15.4%減、2000年度比57%減まで減少した。 一方で、家庭から出る食べ残しなどの「家庭内食品ロス量」削減の動きは鈍く、2022年度は236万トンで、前年度比3.3%減と低調気味だ。総量においても、これまで上回っていた事業系ロスに並ばれた。 とはいえ、民間調査では一般生活者の食品ロスへの意識は高まっているという。「家庭内食品ロス」の削減に向け、企業側にも動きが出ている。食品関連大手や日用品大手が、「開封後や購入後も長持ちさせる商品」を開発しているのだ。
● 野菜室に置くだけでOK! 野菜がシャキッと長持ちする、魔法の装置 食品製造業界では、実に様々な方面から食品ロスへのアプローチが続いている。 例えば、食品別のロス量の最も多い野菜に着目したのが、日用品メーカーのエステーだ。2022年に、冷蔵庫の野菜室に置いておくだけで、野菜を新鮮に保つ「新鮮番」を発売している。 野菜は収穫後も呼吸することで水分や栄養分を消費して老化していくが、「新鮮番」から発生される二酸化炭素で野菜の呼吸を緩やかにして、新鮮さを長引かせるという仕組みになっている。鮮度保持効果は約3カ月で、袋に入っている野菜への効果も期待できる。 スーパーなどの店頭に並ぶ生鮮食品の包装技術の進化も無視はできない。 ● ダイエー、日本テトラパック… 鮮度維持へのアイデアが続々 スーパー大手のダイエーでは、肉や魚などの生鮮食品を特殊なフィルムで真空包装する「真空スキンパック」をいち早く取り入れている。 肉や魚は、食品トレーとラップの間にある空気に長い時間触れることで鮮度が落ちていく。そこで、100度以上に熱したフィルムで、食品トレーとラップをすき間なく密着させることで、食品が空気に触れることを防ぐのだ。 通常よりも食品の鮮度が長持ちするため、一般的な「トレイラップ」方式の消費期限3~5日間程度に対し、真空スキンパックを施した場合の消費期限は約16日間にまで延長することを可能にした。 さらに、紙容器大手の日本テトラパックは、牛乳などの飲食料品を、常温での長期保存を可能にした紙パック「ロングライフ紙パック」を開発している。 これはアルミ箔と紙とポリエチレンを6層構造にした紙パックに、滅菌した牛乳等を無菌環境で詰めるという仕組みで、酸素の透過を防ぎ、光を遮断して、長期に渡って品質を保つことができる。 開封前のチルド牛乳が、10度以下の環境の場合、保存期間は2~3週間程度であるのに対し、ロングライフ紙パックの場合は、常温でも約2~3カ月の保存が可能になる。 この他にも、オイシックス・ラ・大地は、家庭内でのロス量第2位の調味料を⼩分けにするなど、各社が様々な工夫を行っているのが実状だ。