「本当に準決で守れるか」が基準に。昨年度全国3位の堀越が堅守発揮して1-0で勝利、リーグ戦10試合連続不敗で選手権予選へ
[10.6 U-18東京都1部L第15節 堀越高 1-0 国士舘高 堀越学園総合G] 【写真】横浜FC応援の15歳女優が初水着グラビア→いきなりヤンマガ1位 堀越がまた一つ積み重ねて選手権予選へ――。6日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024 東京1部(T1)第15節が行われ、堀越高が国士舘高に1-0で勝利。堀越はリーグ戦10戦連続不敗で来週から選手権東京都Bブロック予選に臨む。 首位・町田ユースと同勝ち点で2位の堀越と、勝ち点1差の5位・国士舘によるT1上位対決。前半、前期の首位ターンから現在4連敗中の国士舘は、右のMF菅原唯翔(3年)と左のMF大関流生(3年)の両翼の突破力や1タッチパス、インナーラップを交えた崩しでクロスの本数を増やす。 対する堀越は前半、思うようにビルドアップをすることができていなかったものの、前線で一際エネルギーを発する10番FW三鴨奏太(2年)がボールを収め、そこから攻撃をスピードアップする。26分には三鴨の右足FKが国士舘GK飯竹秀真(3年)の手を弾いてポストをヒットし、ゴール前の混戦でFW千葉慎之助(2年)が頭から飛び込む。その後もPA近くで落ち着きとテクニックを披露するMF渡辺隼大(3年)や際の攻防で目立つ三鴨のパスからチャンスを迎える。 そして、MF佐藤蒼太(2年)らのシュートなどで先制点を目指したが、国士舘もCB伊川侃太朗(3年)を中心に跳ね返す。国士舘は本田裕一郎テクニカルアドバイザーから「1人1人が止まってんだよ!」と声が飛ぶ中、意識して動きの量を増加。MF浮須侑真(3年)やMF島田龍(3年)がボールを収め、菅原のプレースキックなどから先制点を狙う。だが、ゴール前のこぼれ球をシュートブロックされるなど得点を奪えない。 0-0の後半9分、堀越が先制点を奪う。右サイドから人数を掛けた崩し。そして、渡辺隼のグラウンダークロスを交代出場MF岩崎晄芽(3年)が1タッチでゴールへ蹴り込んだ。堀越は後半、ビルドアップのリズムが向上。MF小川稜太(1年)や渡辺隼らが係わりながらボールを前進させるなど、緩急のある攻撃を見せる。そして、渡辺隼のパスからMF杉村充樹(2年)がシュートへ持ち込み、左からの折り返しを三鴨が狙うシーンもあった。 対する国士舘は、2枚替え、3枚替えで流れを変えに行く。前線にボールを入れ、そのこぼれ球を交代出場MF菊地琉斗(2年)が狙うシーンもあったが、堀越はU-17日本高校選抜のCB森奏(3年)が前半を含めて圧倒的な高さを披露。また、CB渡辺冴空(3年)や左SB瀬下琥太郎(3年)、ゲーム主将の右SB森章博(3年)も浮き球の競り合いやルーズボールの競り合いで国士舘を上回っていた。ロングスローも入れてくる相手にゴール近くでのセカンドボール回収を許さず、GK佐藤晴翔(3年)の守るゴールをほとんど脅かされることなく守り続ける。 そして、岩崎や三鴨、杉村、交代出場FW高橋李来(2年)の鋭い動きからカウンターを繰り出してチャンス。2点目を奪うことこそできなかったものの、1-0で勝利した堀越は、「何か1つの成功体験をすることで、一気にその成功体験が積み重なっていくっていうのは、本当にこの年代特有であるなと思います。ほんとに頑張ってきたことが何か次に繋がるとか、成功が得点の糸口になるとか、そういうことがちゃんとみんなが認識できていると、『この頑張りって無駄じゃないな』とサッカーの中で成果になってくる」(佐藤実監督)というように、これまでの成功体験同様、また一つ積み上げて選手権予選へ向かうことになった。 堀越の守りの堅さ、際の強さが光るゲームとなった。失点数14は首位・町田ユースと並んでリーグ最少タイ。特に無敗期間は10試合で7失点と守備の安定感が光る。佐藤監督が言い続けてきたことは、「あの近江相手でも守れたか」ということだ。 堀越は昨年度の選手権で初のベスト4進出。ボールを保持しながら主導権を握るイメージのある堀越だが、初戦から4試合でわずか1失点という堅守も躍進の原動力だった。だが、準決勝では、近江高(滋賀)の非常にクオリティの高い攻撃の前に守りを剥がされ、ゴール前に人数を掛けられて3失点。選手権決勝の舞台に立つために大切なことをまた学んで大会を終えた。 佐藤監督は「本当に(全国大会)準決で守れるかっていうのが、(今年の)僕らの基準っていうか。近江は上手かったし、やっぱりレベルも高かったし、自信も持っていたから。あれを肌感で経験しているのは、アイツらしかいない」。当時、堀越の4バックを務めていたのは全て2年生。国立競技場の記憶を忘れずに守りを磨いてきた。 対外試合で無失点に抑えたとしても、「『これ、近江だったら?』『近江があそこでパって来たら止めれた?』とか、『2度追いできた?』と」(佐藤監督)。そして、失点には厳しく向き合った。森奏は「練習中だったりも失点したらみんながそこに敏感になるんで、そういうところはやっぱ失点が少ない理由だったりするのかなと。1人1人の意識がやっぱ違うかなと思います」。佐藤監督は日本代表・森保一監督やJ1で優勝争いを演じる町田の黒田剛監督がタレントたちに厳しく守備の要求をしていることを例に出していたが、堀越はこの一年間、チーム全体で意識しながら高い守備基準への努力を重ねてきた。 今年はボールを保持することに加え、例年よりもガッチリ守ってカウンター攻撃、セットプレーからゴールを奪うような色付けをしてきたチーム。良い守備から良い攻撃に結びつけられるようになってきている。ただし、「まだまだ」。昨年のように1戦1戦成長して国立準決勝で守れるチーム、勝つチームになる。 チームは躍進した昨冬のことを「一回忘れて。ほんとに今年、新しい自分たちのチームが始まっているって、しっかり理解して」(佐藤監督)一年間に取り組んできた。東京都1部リーグでは不敗を続けているものの、関東大会予選、インターハイ予選はいずれも敗退。悔しい経験をしてきた堀越は周囲の「全国3位」という声を意識しすぎずに、自分たちがやるべきことに集中するだけだ。渡辺隼は「今年は、まだ自分たちは何も成し遂げれてない。ゴール前のところで体張るっていうところだったり、球際の部分も徐々にできてるところはあるけれども、もっともっと強度高くやらないといけないと思う。もう一回、1人1人が強く意識を持った方がいいと思います」と引き締めた。 森奏は都立東高戦から始まる選手権予選へ向けて、「みんな上見すぎず、下からまず一勝、一勝、一勝、一勝、一勝で、絶対、去年の舞台には一勝、一勝していけば絶対繋がってくると思うんで、まずは最初の試合とか1つ1つの試合で勝つっていうことをみんなでやってきている」。主軸候補にけが人が増えているものの、代わりに出ている選手たちが奮闘。昨年に比べても充実しており、選手権出場、プリンスリーグ関東昇格の両取りを見据えている状況だ。ここから一戦一戦白星と成功体験を重ね、2024年度世代の堀越が全国を沸かせる。