『フジロック'24』電気グルーヴインタビュー【後編】「いつもどおりの曲をやるだけですよ(笑)。最後、『富士山』」
──次は2019年の、瀧さんの逮捕でキャンセルになった年。逮捕が3月で……噂ですが、最初は日高さんは「じゃあ今年のフジで復活でいいじゃん」って言っていた、という(笑)。 石野 ほんとかどうか知らないけど、日高さんなら言ってくれそう。俺はそれでもよかったんだけど。 瀧 ああ、そうかそうか。 石野 でも、瀧の一件があって、いろいろさ、マスコミが……俺、ベルリンにいたんだけど、その時入ってくる情報がさ、気がついたらいつの間にか、俺も悪者になってたりしてさ。で、瀧は留置場にいるじゃない? その時に日高さんがメッセージを出してくれて、世間向けにね。そのメッセージを俺、ベルリンで読んだんだけど、もうほんと、涙が出そうになるくらい感動してさ。ちゃんと表立った場で、そういうことを言ってくれる人がいなかったから。それはいまだに俺、日高さんにすごい感謝してるんだけど。すごい響いた。 ──次は2021年、コロナ禍に行われたフジロックの大トリで、客前のライブとしては電気グルーヴの復帰一発目でした。 瀧 2020年に開催されなかった時、その前に、日高さんとメシ食ったよな? 石野 ……あ、フグ料理か。行ったね。 瀧 で、「次は出てよ」「もちろんです」って言ってたんだけど、コロナでできなかった。その翌年に出て、なんとも言えない感じだったね、この時ね。 石野 うん。もちろん決して悪かった印象はないんだけど、果たしてこれは手応えだったのか? っていう。手応えが、あるのかないのかわからない。 瀧 フルスロットルで行っていいものかどうか。ライブなんで、コール&レスポンスとかやった方が盛り上がる局面もあったりするじゃないですか。特に俺なんかその役目だし。で、「みなさん、お久しぶりです」もあるじゃん、俺にしてにみれば。で、出て行って、ワーッとやり取りしようとしたら、「あ、そうか、やり取りしちゃいけないのか」っていう。お客さんも「先生に言われてるから」みたいな感じで。そこをちゃんと守ってんのが、フジロックのお客さんだな、とは思うんですけど。 石野 プロレスをやる準備で行ったんだけど、レスリングだったっていう感じ(笑)。しかも、渋い、関節の取り合いの。 瀧 三密だからおもしろいんじゃん、ライブって。それ全部禁止なんだもんね。 石野 だから、ちゃんとしたリハっていうか。リミッターというか、「ここまで」っていうのが決まってるから、ライブにしても。たぶんいちばん丁寧にやったんじゃないかな。 瀧 無秩序が生み出されるからライブはおもしろいんだけど、今年は無秩序を作っちゃダメなんだな、というのを気にかけながらやってたような気がする。 ──では最後に、2024年の出演に関しては? 石野 いつもどおりの曲をやるだけですよ(笑)。最後、「富士山」。 瀧 まあ、お客さんが楽しめるように──。 石野 「富士山」で終わります(笑)。楽しいのか? それ。 瀧 まあ楽しいんじゃない? 「ほら、やった!」って人もいるだろうから。 石野 「またやってる」っていうのもあるしね。やめようか?(笑)。 瀧 どっちでもいいよ。 石野 まあ今年は、いちばん大好きなレッドマーキーでやれるから。 ──観る方からすると狭いんですけどね、電気が出る場所としては。 石野 それは知ったこっちゃない。あそこがいちばん、雰囲気もいいし、屋根もあるし、苗プリも近いし、あとそのまま残れるし。ホワイトとかグリーンだと、クルマに乗せられていったん楽屋エリアまで戻されるんだけど、それがないから。 瀧 レッドマーキーのあのギュッとしてる感じが、ちょうど心地よくできる感じっていうか。そんな感じですかね。 Text:兵庫慎司 <イベント情報> 『FUJI ROCK FESTIVAL '24』 7月26日(金)~28日(日) 新潟・苗場スキー場 <電気グルーヴライブ情報> 『35周年ツアー “3594”』 9月14日(土)Zepp Osaka Bayside ほか