なぜ球数制限だけが導入されたのか? 日本の野球育成年代に求められる2つの課題
高校野球の先生たちと立ち上げた「リーガ・アグレシーバ」
選手たちが野球に最大限熱中し、自分自身やチームの成長につなげるためには、現行ルールのもっと大胆な変更を考えてもいいのではないでしょうか。 私がそう考える要因の一つは、近年、高校球児たちの考え方が大きく変わっているように感じるからです。 甲子園は魅力的な舞台である一方、自分の未来はもっと大事。そうして過密日程の中で連投をせず、チームメイトに大事な先発マウンドを託すという選択をする投手が出てきました。その一人が、天理高校のエースとして2021年春の甲子園に出場し、同年ドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団した達孝太投手です。 また、プロ側が評価する選手のタイプにも変化が生まれているように思います。例えば、2022年ドラフト1位で福岡ソフトバンクホークスに指名されたイヒネ・イツア選手。愛知県の誉高校時代には甲子園の出場歴がないものの、将来性を評価されて最高評価でプロ入りしました。 高校時代に無名だった一方、大学で成長して同年、東北楽天ゴールデンイーグルスに1位指名されたのが荘司康誠投手です。一般受験で新潟明訓高校に入学し、高校3年時は春も夏も初戦敗退。指定校推薦で立教大学に進学し、右肩の故障が癒えてきた大学3年から頭角を表すと、翌年、2球団競合でプロ入りしました。 選手の才能がいつ花開くかは、プロのスカウトにもはっきりと見えているわけではありません。だからこそ可能性の芽を大切に育みながら、できるだけ大きく飛躍できるような環境を整えていくことが大事だと思います。 そのために不可欠なのが、アマチュア球界にリーグ戦を導入することです。私はグアテマラから帰国した2014年、拠点を構えた大阪でそう訴え始め、同意してくれた高校野球の先生たちと翌年「リーガ・アグレシーバ」を立ち上げました。大阪の6校で始めたリーグ戦で、現在は全国で155校まで参加校が増えています(2023年6月26日時点)。地元で熱心に取り組んでいる公立高校から、甲子園の常連まで幅広く参加してくれています。