元メルカリ幹部がタクシー業界に乗り込んだ事情 「何度も壁にぶち当たって絶望した」
青柳 (newmoを設立する)直前にメルカリで金融関連のビジネスを6年ほどやっていた。キャッシュレス決済や暗号資産に関するルール作りなど、ユーザーに信頼される新しい金融サービスの構築に取り組んだ。 規制に関する業種や、社会インフラと重なる領域で仕事をしてきたことに手応えを感じている。その経験を生かせると考えている。 ――一方、宮崎CBOはサイバーエージェントの元取締役です。newmoにジョインした経緯と役割を教えてください。
宮崎聡CBO(以下、宮崎) 青柳とは、ともに北米に赴任していた2011年からの仲で、その後も連絡を取り合う関係だった。 そんな中、去年の夏に北海道を長期旅行した際、現地でバスの減便や移動困難者に関するニュースを頻繁に見かけた。実際、お酒を飲みに行った帰りには、本当にタクシーがつかまらない。東京にいたら気付かないが、これは何かが成り立たなくなっていると痛感し、「青柳さんならどうするかな……」と考えていたら、彼のほうから連絡が来た。
久しぶりに食事をして、「実は、M&Aなどを通してタクシー会社の経営に参画していく側面で困っている」と。僕はサイバーエージェント時代、事業開発やベンチャー投資、M&Aなどを経験してきた。退社後もファンド事業などを手がけ、青柳から連絡が入った時期はちょうどM&A仲介ビジネスを始めようとしていたところだった。 そうした経緯から、newmoでM&Aや事業開発を担うこととなった。 ■ずっとタクシー業界をウォッチしていた
――2023年の夏頃から、政界でライドシェアに関する議論が盛り上がってきました。 青柳 去年から、規制改革推進会議やデジタル行財政改革会議で議論が行われるようになってきた。それまでは「ライドシェア」という言葉を使うことさえタブーのような感じだったが、ようやくそうしたタブー感が薄れて、政治の議論になってきている。 ――newmoを設立したのは2024年1月。ライドシェア解禁の機運が高まってから、起業に至るまでのスピードが異様に早いようにも思えますが。