できればお世話になりたくない……けど頼りになる! クルマの油脂類に引火した際に登場する「化学消防車」がスゴイ
水で消火できない火災に対応するのが「化学消防車」
万が一の火災のときに駆けつけてくれる消防車は、非常に頼もしい存在であるとともにできればお世話になりたくはないものだ。ただ、我々クルマ好きにとってはもっとお世話になりたくない消防車が存在する。それが「化学消防車」なるものである。 【写真】それ違反ですよ! うっかりやりがちな人が多い駐停車禁止のゼブラゾーンとは 通常の消防車は火災を消火する際には、消火栓や防火水槽からポンプで水を吸い上げて放水することで火を消すというのが一般的であるが、化学消防車とは自動車の火災など、ガソリンや油に引火している火災のときに活躍するものとなっている。 というのもガソリンは、「給油」という言葉があることからもわかるように油の一種であり、エンジンなどに使用されているオイルも含めて、自動車の火災は油脂類の火災となることが多くなるのだが、この油脂類の火災に水で消化しようとすると、火の着いた油脂類が飛び散ってしまったり、水よりも比重の軽い油脂類が水たまりに広がって火災が延焼してしまう恐れがあるのだ。 そのため、化学消防車にはこういった油脂類の火災に対応した泡状や粉末状の化学消火薬剤と呼ばれるものが積んであり、車両火災において周囲に被害を拡大させることなく鎮火させることができるというワケなのだ。 ちなみに化学消防車は車両火災だけでなく、航空機の火災や石油コンビナートなどの大量石油類の火災に対処するための車両なども存在し、小さいものからI型~V型、大I型、大II型など、用途に合わせてさまざまな大きさのものが存在している。 なお、化学消防車の消火は強力であることは間違いないが、通報から到着までには当然ながら時間がかかるため、ほかへの延焼は免れたけれどクルマは全焼……というケースも珍しくない。そのため、旧車など車両火災の可能性が少しでもある車両に乗っているユーザーは、保険のために車載用消火器をひとつ搭載しておくことをオススメしたい。 万が一、車両火災が発生したとしても、すばやく初期消火ができれば車両への被害を最小限に抑えることができるし、復活もしやすくなることは間違いない。レーシーなカスタマイズをしている車両であれば、車載用消化器の搭載は保険かつ、車内のドレスアップアイテムとしても活躍してくれるハズだ。
小鮒康一