鈴木涼美が振り返る「小手先のテクニックでいまいちなものを量産していた時期」 作家として守りたいマイルールとは
■自分が心底面白がれるものを書く ただ私の場合はそこそこ器用にたくさんの記事を書いていても、二、三年で自分に飽きてしまうため、多少不安定で、三日かけて書いた二章分を全部消してしまうような時があっても、まれにでいいから自分が心底面白がれるものを書けるほうが性に合っていると思い、形にならない日が続いてもあまり焦らないようにしています。とはいってもそれを仕事にしている以上、一年で一枚の時があってもいい、とか、十年休載してもいい、みたいな特殊な人気漫画のようなことを言うには厳しいものがあります。 気乗りしない時でも、かならず一日一文字以上は書く、いまいちな出来であっても書き上げたものはとにかく一度編集者に見てもらうというのが、少なくとも仕事として書いていくにあたって私が維持したい姿勢です。安定して量産する時に書いたものは気に入らないものが多いとはいえ、一文字も書けない日が続くような時期に書いたものもまた、いまいちなことが多いからです。 連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」では、恋愛、夫婦、家族、仕事、友人など、鈴木さんと同世代の30~40代女性を中心に、お悩みを募集しています。ご応募はこちらのフォーム(https://forms.gle/vH3KMGRGBPJb2TE5A)から! ●鈴木さんからのメッセージ 私はずっと地べたにはいつくばって生きている感じなので、こんな風にすれば素敵な人生送れるよ!というアドバイスは何もないですが、ピンチに陥ったり崖っぷちに立ったりすることは多い日々だったので、痛み分けする気分で、気負わずなんでもお便りお待ちしてます。
鈴木涼美