高速道路を使わないユーザーには無駄? 「三角表示板」がなぜか標準装備にならないワケ
緊急時に欠かせないもの
自動車の装備品のなかには、トラブルが発生したときにしか使わないものがある。そのひとつが三角表示板だ。三角表示板は、高速道路で緊急停止した際に道路に設置する表示板で、道路交通法では「板状の停止表示器材・停止表示板」と表現されており、形状は中空の正三角形と決められている。 【画像】「なんとぉぉぉぉ!」 これが60年前の「海老名SA」です! 画像で見る(計15枚) もし高速道路で緊急停止した場合、この三角表示板を設置しなければ道路交通法違反になる。緊急事態であるとはいえ、高速道路で停車することは非常に危険だ。後続車との衝突を防ぐために表示義務があることは十分に理解できる。 普段は使わないが、緊急時には安全を確保するために不可欠な三角表示板。法律違反にもなるため、車に備えておく必要がある。しかし、ほとんどの車種では三角表示板が 「標準装備されていない」 のだ。なぜなのだろうか。
「義務なし」理由と現状
なぜ三角表示板が標準装備ではないのか。それは、 「搭載義務がない」 からだ。意外に思えるかもしれないが、表示義務はあるものの、携帯義務はない。つまり、三角表示板を車に積んでいなくても、高速道路で緊急停止しない限り違反にはならないということだ。三角表示板を装備していなくても車検は通るし、 「高速道路を使わないユーザー」 にとっては必要ない装備ともいえる。 例えば、トヨタGR86の取扱説明書を見てみると、三角表示板を収納するスペースは用意されているが、実際の表示板はトヨタ販売店で購入する必要があると記載されている。標準装備ではなく、 「メーカーオプション(自動車を購入する際に、標準装備とは別に追加で選べる装備や機能)」 での対応だ。他のメーカーでも似たような対応をしている。また、市販の三角表示板もあり、基準を満たしたものを自分の好みに合わせて購入することができる。 ちなみに、三角表示板と同じ役割を果たす「発炎筒」は、道路運送車両の保安基準第43条の2によって車載が義務付けられている。このため、発炎筒は車検を通すためにも必要な装備であり、各メーカーは標準装備として提供している。