「150円のおにぎりを買うお金がない」“奇跡の9連休”を前に困窮する子どもや若者。止まらないSOS。いま必要とされる支援は
「ごはんを食べない日がある」「150円のおにぎりを買うお金がない」 これらはどこか遠くにある発展途上国の若者の声ではない。他でもない、日本の若者たちから日々、支援団体に寄せられる「SOS」のメッセージだ。 【写真】困窮する若者に向けた支援の現場は今 家庭の事情などで経済的困難や孤立に苦しむ子どもや若者たちが今、今日や明日の食事さえ確保できない状況に追い込まれている。 NPO法人「D×P」(ディーピー)では、全国各地から助けを求める若者たちに食糧物資を送るなどの支援を行なっている。 今、若者たちが置かれる現状は。大阪市中央区にあるD×Pの食糧倉庫を訪れ、困窮する若者に向けた支援活動の“今”を取材した。
困窮する若者たちからの止まらない「SOS」
大阪市内のビジネス街の一角に、D×Pの事務所はある。忙しく行き交う人々には、すぐ近くに困窮する若者たちに送られる緊急食糧支援の倉庫があることや、そのような若者が日本にいることは想像がつかないかもしれない。 支援物資の保管倉庫として使われ、D×Pのスタッフが箱詰め作業などを行う事務所の一室には、段ボールに入ったレトルト食品や缶詰などが所狭しと並べられていた。 D×Pでは、ひとり親家庭での生活や虐待・ネグレクトの経験など、さまざまなバックグラウンドを持つ13~25歳の若者を支援している。 LINEで相談ができる「ユキサキチャット」では、全国各地の若者から助けを求める声が日々届き、これまで送った食糧支援は累計24万食を超える。現在も、毎週2000~3000食を発送している状況だ。 食糧支援を必要とする若者の約4割が調理器具などがない状態にあるため、調理の必要がなくすぐに食べられ、保存がきくレトルト食品を主に送っている。
「所持金が数百円しかない」「バイト代を親に取られた」
助けを求める若者に共通しているのは、困窮した時に頼れる保護者や大人が周囲にいないことだ。 虐待やネグレクトを理由に育った家庭にいられず家を出ていたり、親に奨学金を使い込まれてしまったりと、困窮する背景は様々だが、公的な支援からもこぼれ落ち「孤立」してしまった子どもや若者から痛切なSOSが日々届いている。 元々はユキサキチャットでは、不登校の生徒から進学や就職の相談を受けていたが、2020年のコロナ禍による緊急事態宣言あたりからその内容が変わってきたとD×P理事長の今井紀明さんは語る。 「一人暮らしをしている高校生やネグレクト、虐待の問題を抱える若者から『所持金が数百円しかない』『バイト代を親に取られた』といった相談が殺到し始めました。そこで相談だけではなく、食糧支援や現金給付を始めたという背景があります」 「食糧支援も現金給付も世帯支援ではなく若者に直接届けることを大切にしています。ネグレクトを受けている若者の場合は親が拒否することもあるので、郵便局留めや学校に直接送っています」