阪神淡路の被災地で”アスベスト” 肺がん発症の男性に初の労災認定 潜伏期間は30年から40年
阪神淡路大震災の被災地で、アスベストを吸って肺がんを発症したとして労災申請していた男性について、神戸東労働基準監督署が昨年度、労災認定していたことが分かりました。 阪神大震災に関連しての「肺がん」発症が労災認定されるのは初めてです。 男性(80代)が震災当時勤務していた神戸市内の会社によりますと、男性は業務でアスベストを扱ってはいませんでしたが、発災直後の数日間、建物が損壊した取引先などを訪問していました。 また震災から3年間、がれきの撤去などが行われていた被災地をバイクで通勤したり、神戸市内を中心に営業活動を行っていて、そのなかで解体中の建物から飛散したアスベストを吸い込んだ可能性があるということです。 男性は3年前に肺がんを発症し、医療機関の検査でもアスベストを吸ったことを示す検査結果が出ていました。 神戸東労基は、「震災時に間接的にアスベストにさらされた可能性がある」として昨年度、労災認定しました。 男性はことし亡くなっています。 アスベスト被害者らを支援しているNPO法人ひょうご労働安全衛生センターによりますと、阪神大震災に関連した「肺がん」発症が労災認定されるのは初めてだといこうことです。 (同センター・西山和宏事務局長) 「阪神淡路大震災では間接的な作業であっても相当量のアスベストの飛散があった。作業員だけではなく、ボランティアなどで被災地で活動された方も注意が必要。30年から40年といわれる潜伏期間を考えると、これから被害が発覚する可能性があるので心当たりがあり、体調不良を覚えた人は病院を受診してほしい」。
ABCテレビ