「早寝早起きは体にいい」は間違っている…医師「朝型と夜型のどっちがいいか」の最終結論
■「惰眠を貪る」=睡眠は「だらしない」? 睡眠時間が短いほうが「真面目で勤勉な国」と思う人は、かなり時代に乗り遅れています。もはや、寝る間を惜しんで働くことが美徳とされる時代ではなく、睡眠不足が、生産性を低下させ、国民の健康を脅かしかねないことにもっと意識を向けるべきでしょう。 「惰眠(だみん)を貪(むさぼ)る」という睡眠を貶める言葉もあります。とかく睡眠は「だらしない」「なまけている」と捉える人がいまだに多いようです。 絵本『ウサギとカメ』では、足の速いウサギが寝ている間に、コツコツ歩いているカメに抜かれます。本来、カメは、ウサギと競っておらず、ゴールという目標だけを目指していたことを教える話ですが、幼いころに読んだこのお話を「惰眠を貪る」と誤って解釈している人もいるかもしれません。 睡眠における言説には、誤ったものや時代にそぐわないものが少なくありません。正しい理解で、睡眠に対する意識を高めていってください。 ---------- 櫻井 武(さくらい・たけし) 医師、日本睡眠学会理事 医学博士。筑波大学医学医療系および国際統合睡眠医科学研究機構教授。筑波大学大学院医学研究科修了。日本学術振興会特別研究員、筑波大学基礎医学系講師、テキサス大学ハワード・ヒューズ医学研究所研究員、筑波大学大学院准教授、金沢大学医薬保健研究域教授を経て、現職。1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見。平成12年度つくば奨励賞、第14回安藤百福賞大賞、第65回中日文化賞、平成25年度文部科学大臣表彰科学技術賞、第2回塩野賞受賞。著書、テレビ出演など多数。 ----------
医師、日本睡眠学会理事 櫻井 武 イラストレーション=坂本奈緒