選手とファンの距離感は? プロスポーツのファンサービスはどうあるべきか
たくさんのファンはモティベーションに
ファンサービスについて、遠征先のホテルでも基本的に規制は設けていないそうです。ただ、一般の宿泊者に迷惑がかからないように「ここのエリアでのサインはご遠慮下さい。ホテルの中で出待ちをすることはやめて下さい」と、注意喚起をする場合はあるといいます。ファンの方には「駅やホテルなど公共の場所では良識の範囲内で、安全面には特に気をつけていただきたい」と呼びかけます。 選手にとっては、観客がたくさん入ることは当然モチベーションのアップにつながります。「試合後に選手に話を聞くと『今日お客さん入っていましたね』と話してくれます。ぜひたくさんの方にジャイアンツ球場に足を運んでいただき、選手と触れ合って、ジャイアンツ球場の良さを感じていただきたいです」 (佐々木さん)
サッカークラブでもファンとのふれ合い
一方、サッカークラブではどのようなファンサービスが行われているのでしょうか。J1横浜F・マリノス広報室室長の吉久潤さんに聞きました。 マリノスでは、今シーズンは週に2回、トップチームの練習日に「ファンサービスエリア」を設けています。ここでは、練習後の選手がサインに応じたり、選手と写真を撮ったりすることができます。「ファンの方には選手を身近に感じてほしいですし、日ごろ応援していただいているお気持ちにお答えするのは当然だと考えています。熱心に通ってくださる方もいらっしゃいますし、選手とファンがふれ合ういい機会だと思います」。 公式サイトでは「公共の場所でのサイン、写真撮影等はおやめください」との掲示もあります。公共の場所では事故がないよう安全第一で、一般の宿泊客の迷惑にならないことが大事になります。「きちんとしたルールを設け、その中で選手とファンの方がいい関係を築いていただければと考えています」
大都市クラブならではの難しさ
Jリーグは地域密着を理念に掲げていますが、マリノスがホームタウンとしている横浜市は人口約370万人、横須賀市は約40万人。合わせると約410万人を超す“大都市”になります。そのため「ファンの方たちに応えきれていない部分がある」と吉久さんは振り返ります。 「ホームタウン活動で、市民の方との年間接触数は延べ約4万人です。全ての方と交流するのには単純計算で100年以上かかることになります。また、リーグ戦は基本的に週末に実施されるので、ファンサービスエリアも平日の設置がほとんどとなり、ご参加いただけない方たちもたくさんいます。夏休みを活用して通常とは違ったかたちで、小学生を対象としたファンサービスなども実施していますが、今後ももっと考えていかなければと思っています」