父の新盆で帰省した40歳娘、実家の変わり果てた姿に唖然…娘がチラシと書類の山から見つけた〈緑色の封筒〉に67歳母がうれし涙を浮かべたワケ【社労士が解説】
所得が一定基準を下回る公的年金の受給者を対象に、年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」。所得が低い方の生活の支援を図ることを目的としたものであり、年金とは別の福祉的な性格を持つ制度です。受給者の要件や給付金の額など、事例をもとに、角村FP社労士事務所の特定社会保険労務士・CFPの角村俊一氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
夫が亡くなり...苦しい生活にひとすじの光
昨年の秋に夫を亡くしたAさん(67歳)。すっかり意気消沈してしまい、毎日の生活にも張りがありません。生活は楽ではなく、わずかばかりの年金と夫が残してくれた貯金で何とかやりくりしています。夫は自営業だったため、遺族年金はもらえません。 新盆を迎えるにあたり、数日後に40歳の娘が帰省してきます。「早く家の中を片付けなきゃ」と思いましたが何から取り掛かればいいのかわかりません。亡くなった夫がきれい好きだったため、家の掃除はすべて夫が行っていたのです。また、役所の手続きや公共料金の支払いなど、面倒で細々としたことも夫がやってくれていました。 久しぶりに帰省した娘は唖然とします。あんなに掃除が行き届いていた実家はゴミ屋敷一歩手前。リビングには新聞やチラシ、手紙やDMなどが山積みになっていました。 仕方なく娘が片づけを始めると、手紙の中から緑色の封筒が落ちてきました。差出人は日本年金機構とあり、中を確認してみると年金生活者支援給付金請求書というものが入っています。2年前にパートを辞めたAさんは収入が少なくなったため、給付金の支給対象となっていたようです。 いつも「生活が苦しい」と嘆く母にひとすじの光。娘は急いで母に請求書を書いてもらい、日本年金機構に送ったのでした。
公的年金に上乗せされる年金生活者支援給付金
日本年金機構から送られてきた緑色の封筒は年金生活者支援給付金についての案内です。この給付金は消費税率の10%引上げに合わせて2019年10月から支給されているもので、所得が一定基準を下回る公的年金の受給者を対象としています。所得が低い方の生活の支援を図ることを目的とした給付であり、年金とは別の福祉的な性格を持つ制度です。 給付対象者は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者で一定の要件を満たす方。Aさんのように老齢基礎年金を受給している場合は、以下の全てを満たすと給付金がもらえます。 ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である ・同一世帯の全員が市町村民税非課税である ・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が878,900円以下である なお、老齢に関する給付金は、前年の年金収入金額とその他の所得の合計が778,900円以下の場合は「老齢年金生活者支援給付金」が支給され、778,900円を超え878,900円以下の場合には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。 各給付金の給付件数は次の通りです。
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