侍ジャパン「開幕投手」の井上温大、高ぶる思いを球に乗せ六回途中2失点、代表デビュー戦で白星
野球の国際大会「ラグザス プレミア12」(読売新聞社など協賛)は13日、日本と台湾で1次ラウンドB組が開幕し、2連覇を狙う日本代表「侍ジャパン」はバンテリンドームナゴヤで豪州と対戦し、9―3で下して白星発進した。
日本9―3豪州
日本が快勝した。一回、辰己の犠飛で先制。その後は小刻みに加点し、七回に牧の適時打、八回は森下の2点適時二塁打などで3点を奪って突き放した。井上は六回途中2失点の好投。豪州は六回に2本塁打で追い上げたが及ばなかった。
思い切り腕を振り、大仕事全う
井端監督から宮崎合宿初日に「開幕投手」を告げられた井上は、その後の数日はちゃんと寝付けなかったそうだ。群馬で野球を始めた小学生の頃から「夢だった」という侍ジャパンでの初登板が、大会連覇へ向けた初戦のマウンド。高ぶる思いを球に乗せた。
初回、無死二塁のピンチを背負ったが動じない。続く右打者の懐に146キロの直球を投げ込んで見逃し三振を奪うと、3、4番にも内角勝負を挑み、遊ゴロと空振り三振に仕留めた。坂倉の構えるミットめがけて左腕を振り、六回途中2失点で大仕事を全うした。
1か月ほど前、巨人の先発としてクライマックスシリーズに初登板した井上は、負ければ敗退が決まる試合でDeNA打線を翻弄した。日本の吉見投手コーチは「普通の人間ができることじゃない」と強心臓ぶりに驚いたという。
普段は控えめな23歳。代表に選ばれた時も、「うれしいけど、内心は不安。自分でいいのかなって」と漏らした。だから、自信を持てるように準備した。今季途中から制球力を磨くために始めた距離を縮めて行う投球練習や、相手の映像を分析して打ち取るイメージを紙に書き出すルーチンを豪州戦の前も続けた。「何もしないで戦うよりは、過程があるほうが反省もしやすい」と考えるからだ。
六回にソロを浴びたが、ひるまず攻めて8三振を奪った。「意思がある球が投げられた」と井上。デビュー戦を堂々と白星で飾り、胸を張った。(財津翔)