1年限りで解任された楽天・今江敏晃監督（41歳） photograph by JIJI PRESS

今江敏晃監督の交代、田中将大の退団などオフシーズンもなにかと話題な楽天について、初代監督の田尾安志氏(70歳)に率直な思いを聞いた。【NumberWebインタビュー全2回の前編/後編も公開中】 【貴重写真】「カオス、ヤバかった」楽天球団の最初期…「ユニフォームなし、ロゴなし」の貴重写真＆「球界に激震」あの一場事件、伝説の謝罪会見まですべて見る ◆◆◆

「またやっちゃったか…」

　今オフ、楽天は今江敏晃監督の解任を発表。今江氏は2年契約だったが、契約途中で解任されたことになる。初代監督を務め、自身も3年契約を1年で反故にされた田尾安志氏は、昨今の楽天の人事についてこう見解を示した。 「戦力的に厳しいことが目に見えていて、しかも球団から補強もしてもらえなかった状態で今江は監督を引き受けてくれました。僕も今季は最下位予想していましたから、そのなかで監督をやってくれた今江はすばらしいと思います。しかも、球団初の交流戦優勝も果たしましたからね。クライマックスシリーズは逃しましたが、それでもあの戦力で4位になったのは十分な功績です。これほど頑張ってくれた監督を1年でクビにするとは、『またやっちゃったか』という感じです。野球人へのリスペクトがないのではないでしょうか」 　田尾氏の「またやっちゃった」というのは、歴代の楽天監督の就任期間を見れば明らかだ。田尾氏も含め、マーティ・ブラウン氏、大久保博元氏、平石洋介氏、三木肇氏(来シーズンから再任予定)、今江氏と歴代監督10人中6人が1年でクビになっているのである。

「1年でいなくなる監督の言うことは聞きません」

「1年でクビにするなら、最初から監督をさせないほうがいいと思います。監督の考えをチームに反映させるには1年では無理です。最低でも3年はかかる。なので、ある程度はこの監督に任せると思ってもらわないと困ります」 　また、プロ野球は監督が変わることでコーチの顔ぶれも変わる。この点も踏まえると監督を1年でクビにするのは、デメリットだらけだ。 「コーチたちも生活がかかってますから、1年でクビになるかもしれない監督の元では疑心暗鬼ですよ。最低3年は安泰だと思えば、自分のことは気にせず、そのぶん選手に向き合える。一方、選手としても1年でいなくなる監督やコーチの言うことは聞きません。1年でいなくなる監督やコーチの話を聞いて、結果を残せなかったら誰が責任を取るんですか。監督人事は本人だけではなく、コーチや選手のモチベーションにも大きく影響するんです」