杭州で「悟空」足跡巡りが新たな観光ブームに
【東方新報】「ゲームに出てくる霊山ってここですか?」「ここで撮影されたんですか?」中国初のAAAゲーム『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』がリリースされてから、ゲームだけでなく、現実でも「悟空」の足跡をたどる新しい観光が人気になっている。 国慶節の間、各地で『黒神話:悟空』をテーマにしたコスプレや実際のロケ地を巡るイベントが企画され、多くの観光客が訪れている。この中で、浙江省(Zhejiang)はどうやって既存の観光資源を活用し、国慶節の観光をさらに盛り上げるかがポイントになっている。 「没入型の実体験がカギです」と、浙江省杭州市(Hangzhou)の霊山景区のマーケティングディレクターである鄭麗娜(Zheng Lina)さんは話す。杭州の霊山景区は、その独特な鍾乳洞と幻想的な自然景観で有名な観光地だ。 「『黒神話:悟空』の制作会社が霊山景区のすぐ裏にあり、ゲーム内の霊山と同じ名前なんです。それでゲームがリリースされてから、若者が多く訪れるようになりました」と鄭さんは言う。国慶節期間中は、ゲームのシーンと鍾乳洞の景色を融合させ、観光ルートの中で「孫悟空」や「鉄扇公主」など、6人のキャラクターに出会える体験が提供されている。 蓬莱仙境や火焰山などの観光スポットを巡りながら、観光客はゲーム内のキャラクターと深く交流し、特別な「試練」に挑戦する体験を楽しめる。 例えば、「香」の試練では、観光客が特製の香袋の匂いを嗅ぎ、同じ匂いの香袋を探し出して試練をクリアする。こうした試練が、観光に新しい楽しさを加えている。 上海市から来た観光客の蘇哲(Su Ze)さんは「6つの試練をクリアすると、緊箍咒(きんこじゅ)の形をした特製リングがもらえて、体験を家に持ち帰ることができます」と話す。 国慶節の最初の2日間で、杭州霊山景区には3万人以上の観光客が訪れ、前年同期比で52パーセント増加している。 『黒神話:悟空』のゲームファンである蘇哲さんは、以前からこのゲームを楽しんでいて、今回国慶節の機会を利用して家族と一緒に訪れた。「私は山を登ってスポットを巡り、家族は近くの湖でボートに乗って楽しんでいました」と話している。 杭州霊山景区では、『黒神話:悟空』の人気を活かし、没入型体験ツアーやカーニバルなどを開催し、さまざまな年齢層の観光客に楽しんでもらえるよう工夫している。 「トレンドに合わせた工夫と新しい体験を提供することで、もっと多くの人にこの伝統的な景観を好きになってもらい、一日だけの観光から、何度も訪れる観光地にしていきたい」と鄭さんは話している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。