江原啓之「愛犬を亡くしペットロスに。立ち直るために新しい犬を迎えるのは正しい?自らの今後も考え冷静な判断を」
◆天命で卒業はめでたい Aが不幸ぐせであるもう一つの理由は、自分本位な小我が垣間見えるからです。 そもそもスピリチュアルの視点で見れば、ペットを飼うことはボランティアです。ペットと一緒にいれば、かわいさに癒やされる瞬間もあるでしょう。しかし、命あるものを預かる責任は重大です。ペットがその命をまっとうするまでお世話する、その奉仕の精神があれば、本当はペットロスにはなりにくいはずなのです。よく考えてください。天命をまっとうしてあの世に行くたましいは、この世を卒業したのであって、おめでたいこと。残された人の寂しさを否定するわけではありません。しかし、何もする気が起きないほどロスになるのは、結局は自分が大事な人と言えるでしょう。 しかも、その悲しい気持ちや寂しさを癒やすために代わりのペットを飼うのは、あまりにも自分勝手ではないでしょうか。新しいペットは、決して亡くなった愛犬の代わりにはなりません。ですから、ペットロスを癒やしたいという理由で飼うのは間違いです。飼ったあとで、「やっぱりこの子じゃダメだわ」などと思わないとも限らないのですから。
◆エンディングノートに記して そもそも、どんなペットも人間のように長くは生きられないもの。その現実を理解し、いずれ来る死をも見据えてともに暮らすのが、ペットロスにならないための心構えです。 もちろん、自らの年齢を考えたうえで、大人の保護犬や保護猫、リタイアした盲導犬を引き取って世話をする方もいらっしゃるでしょう。冷静な判断のうえ、ボランティアの気持ちで飼おうというなら否定はしません。けれど視野を広げ、ペットのいないライフスタイルにシフトチェンジするのも、ひとつの幸せな選択と言えるのではないでしょうか。そういう意味で、幸せぐせはBなのです。現在、ペットを飼っている方は、今からペットが亡くなった後のことを想定して、ライフスタイルをどう変化させるべきか、計画しておいたほうがいいでしょう。 そしてエンディングノートにも、必ずペットについて書いておいてください。私も犬を飼っていますが、万一、私が犬を遺して死んだら誰に犬の世話をしてほしいか、エンディングノートに希望を書いています。自分の死後に残されたペットの幸せのために、そして自分が悔いを残さずこの世を去るために、できる限り準備するのが幸せぐせです。 (構成=やしまみき)
江原啓之