藤原ヒロシの今月気になったもの、買ったもの「Au Départ」──連載:HIROSHI FUJIWARA WHAT I WANT
当代きっての〝目利き〞として知られる藤原ヒロシが、「気になったもの」や「買ったもの」を紹介。世界中を旅して回る彼が見つけた今月の一品は、服?ガジェット?それともアート? 【写真を見る】「オー・デパール」の様子をチェック
藤原ヒロシ(以下、藤原) 今回紹介するのは、Au Départ(オー・デパール)というフランスのバッグブランドです。このブランドのことを知ったのは実は最近で、2024年の6月にパリに行った時に知人から紹介されたのですが、その時、「こういうブランドが、まだあったんだ」というのが面白かったんですよね。 ──“こういうブランド”というのは? 藤原 このAu Départは、1834年創業ということで、かなり古くからあるブランドなんだそうですが、知っている人はそんなに多くないと思うんですよ。 ──というか、ほとんど知られていないんじゃないんですかね? 藤原 そう、僕も知らなかったんです。これまでも僕らは、長い歴史のあるブランドが、資本が変わって復活し、リブランディングされて新たな展開を始めるというケースを、本当にたくさん見てきているじゃないですか。それでも、まだ知られていない老舗のブランドがあったんだというのが、驚きというか、面白いというか。そうした歴史を感じさせるAu Départの特徴的なモノグラム柄は、ヘリテージのデザインをそのまま使っているそうです。 ──Au Départのコレクションのラインナップは、どんな感じなんですか? 藤原 創業時に作っていたのは主に旅行用の大きなトランクだったとは思いますが、現在はトラベルポーチやドキュメントケースのようなものまであって、かなりの種類のアイテムが展開されているようです。そのなかでも、メインとなるのは女性向けのハンドバッグだったりしますね。まあ、そのあたりのアイテムの展開の仕方は、どのバッグブランドにも共通することではありますけど(笑)。 ──確かにバッグって、特にラグジュアリーブランドの場合、どこも展開されているアイテムの種類やそれぞれのデザインも似たような感じに見えてしまうのですが、ヒロシさんがバッグを選ぶ時、何がポイントになりますか? 藤原 なんだろう、タイミングかな(笑)。 ──というと? 藤原 いや単純に、同じブランドばかり持つのに飽きたとか、自分と同じものを持っている人をよく目にするようになったとか、そういう時に何かそれまでと違う面白いものが欲しくなるんですよね。 ──その“タイミング”という点でも、Au Départとの出会いは、新鮮だったんですね。 藤原 そうですね。やっぱり、1800年代から続くフランスのバッグブランドで、まだ僕らが知らないものがあったというところに、ある種のファンタジーを感じますよね。似た雰囲気のモノグラムを使った老舗ブランドは他にもあるけれど、実はそれよりも歴史があるっていう。僕がAu Départに惹かれたのも、まずは、そこだったと思います。それに、Au Départのモノグラムの落ち着いた雰囲気って、すごくいいと僕は思うんですよ。 ──ヒロシさんは、Au Départのコレクションの中では、どんなアイテムが好きですか? 藤原 僕が気に入っているのは持ち手が4つ付いている4ハンドルのモノグラム柄のトートバッグです。それと、やはりモノグラム柄のキャンバスをコーティングした素材で作られた肩掛けの大きめのトートバッグを気に入っていて、普段から使っています。 ──ヒロシさんは、大きめのトートバッグをいつも使っている印象があります。 藤原 そうですね。中に仕切りとかもなく、荷物をなんでも突っ込めるようなトートバッグが好きですね。 ──Au Départのトートの使い勝手はどうですか? 藤原 軽くて使いやすいですよ。特にハンドルが4つあるタイプのものは、肩掛けにもできるし、手で持つこともできて便利です。 ──Au Départの今後の展開が気になります。 藤原 最近、パリのサントノレ通りにフラッグシップショップがオープンしたそうですし(写真)、これから、新しいブランドイメージのもとでのコレクション展開が一層進んでいくんじゃないでしょうか。日本でも本格的に展開される日が、早く来るといいですね。
写真・小嶋晋介 文・鈴木哲也 編集・岩田桂視(GQ)