「離婚するのに、オーバーローンで自宅を売れない!」世帯年収750万円、「自宅」も「養育費」も手に入れたい42歳の妻【行政書士がみた、夫婦のリスク管理】
マイホームは一生に一度の買い物と言われています。地域や宅地規模にもよりますが、具体的な値段では少なくとも3,000万円はするのですから、そう言われるのも当然といえば当然です。令和5年、住宅・土地統計調査(総務省・統計局)によると借家の割合は住宅全体のわずか35%。一方、持ち家は60%を超えます。これが「夢のマイホーム」と呼ばれる所以でしょう。 【データ】共働き世帯と専業主婦世帯、割合は? 女性が働きづらさを感じている原因は? 例えば、子育て世代が「子ども部屋」欲しさにマイホームを購入する場合、今後も結婚生活がずっと続く前提です。まさか「途中で離婚するかも」と心配しながら、おそるおそる不動産の契約書に判を押す人はいないでしょう。 しかし、その「まさか」が起こった場合、どうなるのでしょうか? 筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、今回はその「まさか」が起こった事例をご紹介します。 築25年の中古マンションを2,000万円で購入し、700万円で大々的にスケルトンリフォームした椎野真央さん(仮名)もそんな一人です。 頭金なし、35年で住宅ローンを組んだのですが、まだ購入から5年しか経っておらず、2,360万円も残っている状況。それなのに夫婦で話し合い、離婚することに決めたそうなのですが、一体、何があったのでしょうか? なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また家族の構成や年齢、 年収、マンションを購入した経緯などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。 <家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)> 夫:椎野英也(44歳)→会社員(年収500万円) ☆今回の相談者 妻:椎野真央(42歳)→派遣社員(年収250万円) 娘:椎野理央(13歳) 息子:椎野勇也(11歳) 【行政書士がみた、夫婦問題と危機管理 ♯2】
離婚のきっかけは、フルリノベで中古物件購入
賃貸から持ち家に引っ越すきっかけは夫の一言でした。「このまま家賃を払い続けるより、いっそのこと、マンションを買っちゃおうよ。住宅ローンは家賃と同じくらいだし」と。 夫は生活音が気になる繊細なタイプ。うるさい隣人に当たった場合、夫はノイズキャンセリングのイヤホンは手放せずにいました。前もって隣人の生活音を確認することも可能ですが、いかんせん、賃貸の場合、隣の住民が定期的に変わることが多いです。そのため、うるさい隣人がいつ、やってくるかを心配しなければなりません。 一方、持ち家の場合、マンションであっても賃貸に比べれば、隣人の入れ替わりは少ないです。だからこそ、夫は同じ条件なら賃貸より持ち家を望んだのです。夫は隣人だけでなく駅前の喧騒も嫌い。そんななか駅から徒歩25分、しかも角部屋の物件を発見したのです。さらに価格は2,000万円。節約家の夫のお目にかなう安さでした。 スケルトンリフォームの場合、コンクリートが見えるまで解体した上で再建する方法ですが、ある程度、間取りを新しくすることも可能。夫の目にはすでに間取りが決まっている新築マンションより魅力的に映ったようです。リフォームに700万円をかけても、毎月の住宅ローンは76,000円。賃貸の家賃(86,000円)より安く、住居費を節約できる計算でした。 このように中古マンションの購入、そしてリフォームは夫が進んで行いました。この時点ではまさか「築25年」「徒歩25分」「頭金なし」「35年ローン」という事情が離婚の足かせになるなんて…露ほども思っていませんでした。
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