米金利先高観が世界を揺らす、震源地はパウエル議長-各国にジレンマ
マッコーリー・グループのチーフ中国担当エコノミスト、胡偉俊氏は、米国の利下げが遠のくことで、人民銀の潘功勝総裁の置かれた状況はかなり厳しくなる」と指摘。「米国のインフレと政策金利が高止まりすれば、中国が政策金利を引き下げる可能性は非常に低くなる」とし、そうなれば中国指導部は景気下支えで財政政策への依存度を強めるだろうと述べた。
手足縛れる英中銀
主要7カ国(G7)で昨年最悪のインフレに見舞われた英国だが、足元では物価上昇圧力が後退している。わずか3カ月前には遠い先のことと思われていた利下げへの扉も開かれた。
ところが、米国の動向により英中銀の利下げ見通しは揺れ動いている。つい1カ月前まで、投資家は12月までに25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げ3回を完全に織り込んでいた。だが、足元では11月の1回のみだ。
ハーグリーブス・ランズダウンの投資分析・調査部門責任者エマ・ウォール氏はブルームバーグテレビジョンで「英国が利下げを急ぎすぎれば、非常に魅力的になった米国債市場へとマネーが流入し、ポンドは下落する。そうなれば『インフレの再輸入』という問題が発生する」と語った。
金融緩和が限られれば、英経済は昨年陥ったリセッション(景気後退)からの回復が遅れ、年末の実施が広く予想されている選挙でスナク首相の再選の確率が低下するだろう。
豪・ニュージーランド
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)のオア総裁は、積極的な利上げが景気後退を招いたことを受けて、年央までに利下げを開始するとの見方が高まっていた。
だが、17日に発表されたインフレデータは、物価上昇圧力が依然として根強いことを示唆した。米金融当局が一段とタカ派色を強めていることも重なり、エコノミストの一部はここにきて利下げ予想を後退させている。
隣国オーストラリアでは、年末にかけて1回だけ利下げが行われると予想されている。
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