奄美のサンゴ6割死滅、26年ぶりの大規模白化 高い海水温影響か
鹿児島県奄美大島で今夏に発生したサンゴの白化現象で、サンゴの61・2%が死滅したとする調査結果を奄美海洋生物研究会(興克樹会長)が発表した。多くのサンゴが死滅した1998年の大規模白化に匹敵する規模で、夏場の平均海水温が2023年より1~2度ほど高かったことが影響したとみている。 【動画】海中のサンゴの白化現象 調査したのは奄美大島海域の63地点。8月に発生した白化現象の状況を確認するため、10~11月にシュノーケリングによる目視で海底の生きたサンゴの割合や死滅率などを調べた。 その結果、すべての調査地点で白化によるサンゴの死滅を確認。奄美市の笠利湾や大和村の思勝湾など湾内やリーフ内での死滅率が高かった。逆に瀬戸内町の大島海峡やリーフ外での影響は軽微だった。テーブル状や枝状のミドリイシ類の群体が多く死滅していた。 白化の要因とみられる海水温は平均で7月が30・2度、8月は30・4度と高く、特に8月は前年より2・1度高かった。台風の接近が少なく、海水温の高い状態が続いた。 奄美では98年に大規模白化で多くのサンゴが死滅。さらに天敵のオニヒトデの大量発生などで打撃を受けた。その後、数年おきに白化が発生していたものの、回復傾向にあった。興会長は「98年から回復していただけにショックだ。ただ、深い場所のサンゴへの影響は少なく、オニヒトデの大発生の兆候もないため、回復は早いと期待している」と話した。(エリアリポーター・神田和明)
朝日新聞社