「醜いのは犯罪」、そんな法律が50年前まで米国に本当にあった、今も残るその影響
醜陋法が残したもの
醜陋法自体は、現在は施行されていない。最後の逮捕記録は、1974年のネブラスカ州オマハの条例に基づいたものだった。しかしその影響は後世にまで及び、身体障害者と公共の場に対する考え方に影を落とし続けている。 「醜陋法に代わり、今では、一部の人にとって見苦しいと思えるような行為、例えば路上に長時間目立つように立つ、座り込む、眠る、物を持つ、または明らかに困窮した様子を見せるといった行為を防いできれいな歩道を保つための管理計画が策定されています」と、シュベイク氏は言う。 一方で、醜陋法がもたらした歓迎すべき変化もある。 1970年代に、障害者の権利擁護家は、醜陋法を衝撃的な差別の例として挙げ、障害者の公民権保護の必要性を訴えた。こうした活動が実を結び、1990年に、障害者が利用できる設備や環境の整備を企業と政府に義務付けた「障害のあるアメリカ人法」が制定された。 ※醜陋法の最後の逮捕記録を40年前としていましたが、正しくは50年前でした。お詫びして訂正いたします。
文=Ainsley Hawthorn/訳=荒井ハンナ