【DeNA】“IT野球”下克上一助 小杉陽太コーチら豊富なデータ可視化、起用や指導に生かした
<日本シリーズ:DeNA11-2ソフトバンク>◇第6戦◇3日◇横浜 DeNAがソフトバンクを逆転4連勝で下し、26年ぶりに日本一に輝いた。IT野球を支えたコーチ陣、ビジネス部門のリーダーに焦点を当てた。 ◇ ◇ ◇ 豊富なデータで裏打ちされた“IT野球”が下克上の一助になった。現在、1軍のコーチ陣にはアナリスト経験者が2人。靍岡賢二郎オフェンスチーフコーチ(37)と大原慎司チーフ投手コーチ(39)。シーズン開幕前にMLBダイヤモンドバックスに研修で派遣された小杉陽太投手コーチ(38)がデータに造詣が深く、感覚だけではなく専門的な数字を読み解いて、起用や指導に生かしてきた。 象徴的だったのは巨人とのCSファイナル。大貫、吉野、浜口と先発投手が外角から中に入ってくるバックドアのカットボールを活用した。9月下旬に捕手の戸柱が感覚的に「使える」と感じて多用。小杉コーチがデータと照らし合わせた。「バットとの接点も少なくて、打球の質もあまり良くなかった」と組み立ての幅が広がった。さらに外に抜けたような軌道になるため、投手自身も変化しているのか実感しにくいが、それもデータで曲がりと有効性を可視化。投げてる投手に自身を植え付けた。 靍岡コーチもデータと肌で感じた感覚でオーダーや代打、作戦を提案。日本シリーズに入ってからは練習の打球速度なども参考に調子を見極め、勝利翌日でも目まぐるしく打順を入れ替え、ソフトバンクに打ち勝った。自チームだけでなく相手の映像を見るツールも充実しており「今の子は覚えたら早い。リテラシーは上がってる」と評する。 大原コーチも相手打者の苦手な回転数、球速帯、ゾーンなど準備された細かいデータの数々からヒントを得て、CSから日本シリーズまで継投策を当て、ロースコアゲームを勝ちきった。「だんだんとデータと経験のあんばいが分かってきた。短期決戦は選択肢が多くてやりやすかった」とうなずいた。DeNAの“IT野球”が、日本一への快進撃を支えた。