日本、シンガポール、香港に学ぶ暗号資産規制──「フレンドリー」は「イージー」を意味しない
明確さが鍵
シンガポール、香港、そして日本には重要な共通点がある。彼らは暗号資産に対して優しくないかもしれないが比較的明確だ。 取引所は、何ができて何ができないかを把握している。この3つの国/地域の規制当局は、包括的な規制フレームワークを構築するために時間を費やしており、業界と積極的に関わる姿勢を見せている。 言い換えれば、気に入らないルールかもしれないが、少なくともルールは見つけられる。 このアプローチはアメリカとは対照的だ。暗号資産擁護者たちは、アメリカ政府、特に証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長が暗号資産に対して非友好的だと批判することが多い。より大きな問題は、規制が厳しすぎることではなく、何が証券で何がコモディティかについて人々がいまだに議論していることだ。 その結果、国家的な暗号資産のフレームワークがないため、人々は裁判所の判決に明確さを求めるようになった。SECは次々と訴訟を起こした。業界の多くは、リップル(Ripple)社に対する判決が明確な判例となることを期待していた。 しかし、すべての企業が何年もかけてSECと法廷で争う時間と資金を持っているわけではない。アメリカの暗号資産を取り巻く環境は明らかに非友好的だが、それは規則が厳しすぎるからではない。ルールが何なのかについて、コンセンサスが存在しないからだ。 EUでMiCA(暗号資産市場規制)が来年施行されればわかるように、世界の暗号資産規制は明らかに厳格化の傾向にある。EUの27加盟国、約4億5000万人をカバーする広範な規制は、決して緩いものにはならないだろう。そう、厳しすぎることもあり得る。 だからこそ、規制当局が柔軟性と業界との話し合いに前向きな姿勢を持ち、過度な規則がビジネスの繁栄を不可能にしているのであれば、適切な変更を加えられるようにすることが非常に重要だ。 安易な印象を与える「暗号資産フレンドリー」という用語は、そろそろお蔵入りにすべきかもしれない。より正確な用語は「暗号資産クリア(明確)」だ。暗号資産市場が本格的に回復すれば、シンガポール、香港、日本といった地域は、その明確さによって優位に立つことができるだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:T. Schneider / Shutterstock.com|原文:Crypto-Friendly Does Not Mean Crypto-Easy
CoinDesk Japan 編集部