TBSとフジの「余裕のなさ」が原因か…『ジョンソン』『オドハラ』の相次ぐ打ち切りで、いま“芸人バラエティ”が再びさらされている「絶滅の危機」
「カリスマ芸人」が不在の時代に
そもそも現在の視聴者は、ヒット企画を見つけるまでの「ハズレ企画」を多分に含む新番組をわざわざ選んで見ようとしないだろう。また、「ハズレ企画」が多ければTVerで見てもらうことも難しい。芸人バラエティを成功させたいのであれば、番組スタートの段階から「ヒットするかもしれない企画を多めに準備して、可能性の高いものから仕掛けていく」くらいでなければ厳しいのではないか。 芸人バラエティのシンボル的な存在だったダウンタウンやとんねるずが台頭した時代は、芸人どころかタレントの数自体が今より少なく、エンタメ自体の幅も狭かった。一方、タレントに限らずインフルエンサーなども含めた有名人が量産され、ネットの普及でエンタメが多様化・細分化された今、彼らのようなカリスマ芸人が誕生する可能性は低くなっている。 さらにテレビ番組にしろ、YouTubeなどのネット動画にしろ、ある程度の人気者がコラボするのは普通のことになり、かつてのような鮮度や特別感は消えてしまった。だからこそせめて「この番組だけは別のキャラクターや芸風を見せる」などのプレミア感がなければ芸人バラエティは難しいのかもしれない。 それでも「芸人バラエティが絶望的な状況か」と言えば、そうとは言い切れないだろう。少なくとも業界には「芸人バラエティをやりたくてテレビ局に入った」というテレビマンたちがたくさんいるだけに、『ジョンソン』と『オドオド×ハラハラ』の経緯を踏まえつつ、新たな番組を画策していくのではないか。 願わくばそのときは「できるだけ表現の幅や自由を与えられる22時台に編成し、長い目で見守る」という局の姿勢を求めたいところだ。 ・・・・・ 【さらに読む】『【一覧】テレビ局の極秘資料でわかった…クビ寸前の「大御所タレント」の名前』
木村 隆志(コラムニスト/コンサルタント)