【解説】斎藤知事の公選法違反疑惑 ポスター制作70万円は「大物政治家に対応したのかな?」 選挙制度の専門家が解説 SNSの“主体的運用”がPR会社なら有償・無償に関わらず違法か
兵庫県知事選挙での斎藤元彦知事のSNS戦略について、公選法違反の可能性が指摘されています。知事側は違法性を否定していますが、いったい何が問題となっているのでしょうか。選挙制度が専門の日本大学法学部・安野修右専任講師に詳しく話を伺います。 【“机バンバン”市長が斎藤知事に謝罪】対抗馬支持を表明した市町長らと懇話会「『公職選挙法違反の疑いは大丈夫ですか?』と聞きたい」
(Q.斎藤知事とPR会社で、食い違いが生じている。斎藤知事側の言い分を聞いて、どう感じる?) 70万円を選挙運動の準備行為、立候補準備行為として支払うこと自体は合法なんですが、実際問題、それが準備行為にかかる費用として、この状況で認められるのかなというのは、もっと事実関係等を明らかにしながら考えないといけないと思っています。 (Q.ポスター制作で70万円という金額は妥当な金額に思うか?) ちょっと高いかなとは思いますが、これがポスター制作費として高額だと捉える方もいますし、低額に取られる方もいると思います。「大物政治家の方に対応したのかな」という金額だという印象はあります。 (Q.SNSの広報全般も含めての70万円だったらどう捉えるか?) それはどう考えても安すぎます。 (Q.PR会社との契約書がないという話だが、斎藤知事はどうやって公選法に違反する事実がないと証明すればいいのか?) 実際に企画・立案に関わった経緯や作業の内容を明らかにすることで、金額が妥当であることを証明する必要があると思います。
買収罪となれば…罪に問われるのは誰?
(Q.広報全般を仕事として行ったというPR会社の投稿が事実だとしたら、どこが問題になるか?) 公職選挙法は選挙運動するものに対して、一部の例外を除いて、報酬を支払うことを禁じているので、買収罪に抵触する恐れがかなり高い印象を持ちます。 (Q.今回大きなポイントとなるのが、SNSを主体的に運用していたのが斎藤事務所なのか、PR会社なのかという点。斎藤事務所がSNSを主体的に運用していたのであれば問題はない?) あくまで無償の範囲内で選挙運動したということになるので、それ自体は問題ないと思います。 (Q.PR会社が主体となってSNSを運用していて、それに対する報酬を受け取っていた場合は買収罪に問われる可能性が高い?) そうですね。 (Q.買収罪ということになると、罪に問われる可能性があるのは誰になるのか?) 陣営の中にいてお金の管理をしていた人とか、あるいは総括的に選挙運動を行っていた人がいれば、その方が罪に問われるということになります。もしも直接、斎藤さんが業者の方に指示を出していたということになれば、斎藤さん本人が罪の適用を受けるようになると思います。
【関連記事】
- ▶斎藤知事代理人 PR会社とは「契約書なし」 公選法違反疑惑巡り説明 来週までに請求書公開へ
- ▶「公選法疑惑について大丈夫なのかと聞きたい」 知事選投開票直前に対抗馬支持を表明した22市町長はどう対応? 兵庫県知事と県内市町長の懇話会
- ▶「70万円あまりを11月4日に支払った」 斎藤兵庫県知事代理人が内訳も明かす 知事選の選挙活動めぐり公選法違反の可能性との指摘を受け対応 近く「請求書を公開する」とも
- ▶「PR会社代表はボランティアとして個人で参加と認識」斎藤知事 公選法違反との指摘を否定 「SNSなどは斎藤、そして斎藤事務所が主体的に運用していた」
- ▶「公選法に抵触する事実はない」 斎藤知事の代理人が違法性を否定 PR会社への報酬支払いめぐり