【解説】斎藤知事の公選法違反疑惑 ポスター制作70万円は「大物政治家に対応したのかな?」 選挙制度の専門家が解説 SNSの“主体的運用”がPR会社なら有償・無償に関わらず違法か
立件のハードル「大変厳しい そもそも事例がない」
(Q.仮にSNSの運用が無償だとしても、公職選挙法の寄付の禁止に問われる可能性が指摘されている。県の仕事を請け負っていた人が無償で働いた、これは寄付に該当する可能性があるのか?) そのことも含めて、これから事実関係の認定をしていく必要があると思う。ただ仮に、県と契約をしていた人が斎藤さんの運動に、個人か企業かは判然としないが、無償で業務を提供していたということになれば、199条「特定の寄付の禁止」の適用を受ける可能性があると思います。 (Q.寄付の禁止に該当する可能性があったとして、立件のハードルは高いのか?) 立件は大変厳しいと思います。特別の請負等のところにあたる要件というのは、そもそも事例がないからです。この199条自体ほとんど死文化している規定で、認定するにあたっても、実際に検挙されて問題になるのは、1回に数億円を送るような契約になってきます。今回PR活動をした会社が適用を受けるかは、今までの事例としてもほとんどないだろうし、検討もされていないのではとは思います。
(Q.どちらがSNSを主体的に運用していたのかが大きなポイントになる。ここをどう明らかにしていくのかが大事になってくる?) いろんな証拠を集めて、個別の事例を見ながら総合的に評価するということになると考えられる。1つ問題になると思うのが、後援会主催で「清き1票よろしくお願いします」とか「斎藤さんのお名前をお書きください」みたいなことが書かれてるアカウントは、どう考えても選挙運動と解釈せざるを得ない。そのアカウントの運用実態がどうなってるのか、そのPR会社が運用していたということになれば、やはり主体的にSNSを運用・立案していたのはPR会社ということになると思います。 ・安野修右(やすの・のぶすけ)氏 日本大学法学部専任講師 公職選挙法を研究 選挙運動規制が日本政治に及ぼす影響について考察
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