合格者増加中の総合型選抜(旧・AO入試)をわかりやすく解説! 今、注目されている理由とは?【大学受験】
今回は大学受験の「総合型選抜(旧・AO入試)」について解説します。大学受験で「一般選抜」や「学校推薦型選抜」と聞けば、どのような選抜方式なのかを多くの受験生はイメージできるでしょう。その一方で「総合型選抜」と聞いても、「実際はどのような選抜試験なのか?」と思う受験生もいると思います。 総合型選抜は合格者が増加している入試の一つです。本記事では総合型選抜とはどのような入試なのかを、初めての大学受験を迎える生徒さんやその保護者様向けに解説していきます。(鈴木優志:大学受験専門AXIV ACADEMY 代表) 【グラフ】今の大学入試は「一般選抜」が少数派? 国公立・私立別の割合を見てみる
総合型選抜とは?
総合型選抜とは一言でいうと、受験生が「大学が求める学生像」と合致しているかを確認する選抜方式のことです。この確認の方法として小論文や面接、プレゼンテーションや実技など、大学や学部によってさまざまな方法がとられています。 これまでの活動実績や、入学後にどのような取り組みを進めていくのか、どんなことを学びたいのかという意欲・目標が重視されます。学校推薦型入試とは異なり、学校長の推薦は基本的に不要で、出願要件をクリアできれば誰でも受験することができます。 アドミッション・ポリシー「大学が求める学生像」とは? 総合型選抜で重要視される「大学が求める学生像」はアドミッション・ポリシーと呼ばれています。「こんな生徒に入学してほしい」と大学が求める学生像は募集要項に掲載されており、選考時には特に大切です。大学や学部によって異なるので、受験時には必ず確認しましょう。 例1:明治大学農学部 アドミッション・ポリシー(抜粋): 農学部は、人類の福祉と健康に関わる課題の解決に向けて「食料・環境・生命」という21世紀を象徴する3つのキーワードを軸に、新時代に対応した特色ある教育・研究を行っています。新時代を担う専門的知識と技術を身に付けた人間性豊かな人材の育成に努めています。 そのため農学の役割と魅力を理解し、幅広い教養を身に付けた志願者を期待します。 ※参照: 2025年度 明治大学農学部 自己推薦特別入学試験要項 例2:関西学院大学経済学部 アドミッション・ポリシー(抜粋): わが国を含め世界の政治・経済情勢は大きな変化の時代を迎えています。その一つに、貧困や環境の問題などが挙げられますが、その根本には経済問題があるのはいうまでもありません。今の時代に大学で経済学を学ぶ意義はきわめて大きいといえます。同時に、社会や世界の多様な文化や考え方の違いを認識することが大切だと言えます。まさに、激動の世界において活躍できる「世界市民」に求められる資質は、経済学の専門知識だけでなく幅の広い多様な知識としっかりとした価値観を持つことです。 ※参照: 入学試験 関西学院大学アドミッション・ポリシー 学校推薦型選抜との違いとは? 総合型選抜と似た入試として学校推薦型選抜が挙げられますが、総合型選抜は学校推薦型とは異なり高校の推薦を必要としません。また、学校推薦型の指定校制の場合は、学校での推薦枠が決まっているため校内選考が実施される場合がありますが、総合型選抜ではその必要がなく、出願要件を満たしていれば誰でも受験することが可能です。 試験内容を比較すると、学校推薦型選抜は小論文・面接が中心となっていますが、総合型選抜は小論文・面接以外に、大学独自試験や大学入学共通テストなどが課される場合があります。しっかり学力を測る入試も多いため対策が必要です。 また評定平均についても、学校推薦型選抜の場合は基本的に一定以上が必要となりますが、総合型選抜では定められていないケースが一般的です。大学・学部によって出願要件や試験内容は異なるため、事前の確認が重要となります。 総合型選抜が注目されている理由とは? 総合型選抜が注目されている大きな理由としては、合格者が増加している点が挙げられます。2023年度の入学者を見ると、総合型選抜で入学した受験生は92,393人となっており、入学者全体の14.8%が総合型選抜で合格しています。 2023年度入試から過去5年間を見ると、2019年度では入学者全体の約10%が総合型選抜で入学していましたが、5年間で約1.5倍と急激に増加しています。近年では大学側がさまざまな入試形式を実施しており、総合型選抜を導入してしている大学・学部の数自体も増えています。 一般選抜や学校推薦型選抜での受験が一般的ですが、総合型選抜も受験することで合格率を上げることができるため、積極的に受験することをオススメします。最近では併願できる総合型選抜も増えてきているので、志望校の募集要項などを確認してみてください。