ネット配信作は「非映画」か――それでも「資金を回収できないと次が作れない」、行定勲の決断【#コロナとどう暮らす】
「予算を削られてまず疲弊するのはスタッフです。これは世界中の監督たちが驚いていることだけど、例えば日本では監督や脚本家の権利は“監督料”や“脚本料”でしかなく、そこに自分たちのロイヤリティーはない。つまり、仮に大ヒットしても、追加の報酬は二次使用からしかもらえない。だったら、本当に作りたいものは『A day in the home Series』のようなオリジナルの自主映画にして、ネット配信でダイレクトに利益を回収するのも選択肢の一つになる」 「『劇場』はたまたま実験的な公開になったけど、多様性が感じられる作品なら、また配信側から手を挙げてもらえるかもしれない。何が正しいのかはまだ分かりませんが、コロナによって、さまざまな仕組みが変わる時期に差し掛かっているのではないかと感じています」 --- 行定勲(ゆきさだ・いさお) 1968年、熊本市生まれ。『GO』(2001年)で日本アカデミー賞最優秀監督賞など、数々の映画賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)が大ヒット。近年の作品に『ナラタージュ』『リバーズ・エッジ』などがある。『劇場』は7月17日に全国劇場公開、Amazon Prime Videoで全世界独占配信。『窮鼠はチーズの夢を見る』は9月11日公開予定。 内田正樹(うちだ・まさき) 1971年生まれ。東京都出身。編集者、ライター。雑誌『SWITCH』編集長を経て、2011年からフリーランス。国内外のアーティストへのインタビューや、ファッションページのディレクション、コラム執筆などに携わる。