<報ステ騒動>江川紹子・青木理が語るコメンテーター論
ーー古賀氏が言う、報道機関に対する政府の圧力はあると思うか? 江川:批判をさせないための働きかけは、あると思います。安倍首相が出演したニュース番組で、街頭インタビューの構成に抗議した件が話題になりましたが、それ以前にも、「NEWS23」の報道に抗議し、政権与党がTBSの取材拒否をするという動きがありました(※)。 (※2013年7月、自民党は、TBSに対し、「NEWS23」の国会最終日に関する報道で、「電気事業法改正法案など重要法案の廃案の責任がすべて与党側にあると視聴者が誤解するような内容」を放送したとして抗議。自民党は、TBSに対する取材・出演の一時停止を通告した。) 選挙直前に、政権与党から取材を拒否されるということは、非常な圧力なわけですよ。それに対して、毎日新聞がその問題をとりあげましたが、他のテレビや新聞は大きく反応しなかった。つまり、1社が狙い撃ちされたときに、他の媒体が助けないんですよ。だから、政権側が、「もっとやれる」ということになり、その後の「公平性要請」につながっていくんです。 ーー放送法に配慮して報道機関が萎縮する? 江川:菅官房長官が今回のことを受けて「放送法」という言葉を使ったことだけで、メディアが萎縮するということはないと思います。でも、TBSに対する取材拒否や、選挙前の報道各局に対する「公平性要請」の書面など、これまでにおきた積み重ねの中で出てくる、菅さんの一言は、「ドスが効いてしまう」ということはあるかもしれません。菅さん本人はその気はないかもしれませんが。 古賀さんが引っ掻き回した感じでやると、面白いし、目に見えて分かりやすいから、大きな話題なる。けれども、これまでのプロセスで、もっと皆が反応しなくてはいけなかったんです。私たちって、例えば、パレスチナの問題でも、日常的に問題があっても目を向けませんが、テロや空爆があったときにだけ目を向ける。それではだめで、もうちょっと、地味なところに目を向けないといけないんじゃないかな、という気がします。 (江川紹子)