舞台裏に潜入 尾上右近が案内する新開場10周年の歌舞伎座
日テレNEWS NNN
毎月、数々の歌舞伎公演が行われている歌舞伎座。2013年に建て替えられ、今年新開場10周年を迎えました。今回、歌舞伎俳優の魅力を伝えるWEB企画『市來玲奈の歌舞伎・花笑み』の連載を持つ、日本テレビ・市來玲奈アナウンサーが、歌舞伎座の舞台裏に潜入。伝統的な歌舞伎演目の世界観をどのように作り上げているのか、歌舞伎俳優の尾上右近さんに案内してもらいました。 【画像】尾上右近 「歌舞伎なんてネタバレ」右近流の作品作り【後編】
■からくりが詰まった『奈落』と『すっぽん』
まず案内してくれたのは、『奈落(ならく)』と呼ばれる、舞台や花道の下のスペース。『大奈落』と『中奈落』の2つに分かれているのが特徴です。『大奈落』には大きな舞台セットなどが置かれていて、『中奈落』は小道具が置かれるほか、役者が舞台に登場するまでの導線となっています。
『中奈落』の花道の真下にあるのが『すっぽん』という舞台機構。下から花道にせり上がることができる昇降装置で、亡霊や妖怪などを演じる俳優が、突然花道に現れたり消えたりする場面で使用されます。俳優がせり上がってくる様子が、生き物のスッポンが首を出す様子に似ていることからこのように呼ばれるようになったといわれています。 実際に見てみると、乗るスペースが狭く、役者は、衣装やカツラ、刀が引っかからないように気をつけているそうです。右近さんは「自分の足で登場する時は“さあ、出てきたぞ”って自分の体で表現できるんですけど、『すっぽん』の場合は乗っていることしかできないので、自分が放つ空気でしかお客さんに訴えることができない。なので結構ドキドキします」と、本番で『すっぽん』を使うときの心境を明かしていました。
■花道に出ていく前の待機場所『鳥屋』
続いて向かったのは、『鳥屋(とや)』と呼ばれる、舞台から見て花道の突き当たりにある小部屋。花道へ出入りする際の待機する場所です。客席と近い位置にあることから、上演中は暗く静かな空間になっているそうです。舞台に出ていく前の最終準備には、先代の歌舞伎座から名優たちが使い続けてきた歴史ある鏡が使われていました。