大爆死! 巨額赤字で総スカン…世紀の失敗映画(3)大人も子供もシラける…酷評連発で世界中が驚愕の大コケ
今回は映画を大ヒットを企図して制作されたものの、大方の期待を裏切って大ハズレをかまし、巨額の赤字を生んだ作品をセレクト。人気ゲームの実写化や劇団四季でお馴染みの名作ミュージカルの映画化など、力を入れて作ったにもかかわらず、期待外れに終わった失敗作が勢ぞろい。映画史に名を残す赤っ恥映画を5本紹介する。今回は第3回。(文・寺島武志)
『スピード・レーサー』(2008)
原題:Speed Racer 製作国:アメリカ 監督・脚本:ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキー 原作:吉田竜夫 キャスト:エミール・ハーシュ、クリスティーナ・リッチ、マシュー・フォックス、真田広之、Rain(ピ) 【作品内容】 主人公スピード・レーサー(エミール・ハーシュ)は、父にレーシングカーデザイナー、兄に天才レーサーという一家で育つ。レースで事故死した兄の後を追うようにレーサーになると、立て続けに大会で優勝する。そんな彼に巨大企業が巨額な契約金でオファーするも返事はまさかのノー。様々な妨害工作に見舞われる。そのことを知った主人公は父がデザインしたレーシングカーに乗り、兄が事故死した大会に出場するのだが…。 【注目ポイント】 昭和30~40年代生まれの男子にとっては懐かしい、スポーツカーレースをテーマとした吉田竜夫原作のテレビアニメ『マッハGoGoGo』を、日本のアニメファンだったラナとリリー・ウォシャウスキー兄弟(前後して、両者とも性別適合手術を受けたことにより「ウォシャウスキー姉妹」と呼ばれている)が、実写化した作品。 『マッハGoGoGo』は2人にとって初めて日本のアニメで、映画化は長年の夢だったと語っている。原作のイメージを損なうことなく映像化しており、日本のアニメ版の主題歌やオートジャッキでジャンプした際の効果音にアニメと同じものを使用するなど、原作のエッセンスをふんだんに盛り込んでいる。 しかし、実写とCGをごちゃ混ぜにした映像は、米国内はおろか、日本のファンにも受け入れられず、北米で3600館以上の大規模で公開されたものの、米国内の興行収入は4395万ドルと、制作予算の半分も回収できすじまい。日本での初週興行成績も1億500万円の初登場5位にとどまり、最終的な全世界興行収入でも1億ドルに満たない、配給元の期待を裏切る興行成績に終わった。 真田広之やRainなど、アジアのキャストも出演を果たしているものの、結局のところ、同作は、大人向けなのか、子ども向けなのか、ターゲッティングが不明瞭なことが失敗の主な要因とされている。
映画チャンネル