海外で人気、熊本・天草市舞台のファンタジー小説 「反響大きい」作者驚き
熊本県天草市の風間澄海(すみ)さん(67)=ペンネーム=のファンタジー小説が海外で人気を呼んでいる。主人公の男子高校生が、16世紀末ごろの秘密文書を見つけ、南蛮貿易の財宝を求め時間旅行する「タイムレス トレジャーズ」シリーズ。海外の小説投稿サイトで6月から順次無料公開し、11月10日には第6話を配信した。9言語で読め、閲覧数は累計2万8千件超。風間さんは「海外で日本の漫画やアニメが人気とは知っていたが反響が大きい」と驚く。 【写真】「タイムレス トレジャーズ」の各外国語版 作品は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する天草市河浦町の「崎津集落」などが舞台。若者向けのライトノベルで、会話文が多く挿絵はアニメ風。ラブストーリーも展開する。 作品では、高校生の蒼真(そうま)や花音(かのん)が、トレジャーハンターと争いつつ「時を超えた財宝(タイムレス トレジャーズ)」を探す。南蛮貿易の場だった「天草コレジオ」の場所などを突き止めるため、海外の古文書を発見し謎に迫る。 風間さんは天草のキリシタン史に関心を持ち、天草コレジオの所在地を40年超研究。2020年に英国の大英図書館で、宣教師フランシスコ・ロドリゲスが書いた1601年の古文書を見つけた。そこにはコレジオが「カワチノウラ(河内浦、現在の同市河浦町)」にあったと記されていた。宣教師ルイス・ピニェイロが17年にスペインで出版した書物でも、同様の記述を確認した。 これらの研究成果を基に3年前からストーリーを構想。小説を書くのは初めてだが、今年3月に執筆を始め、6月から毎月1話ずつ公開している。人工知能(AI)で翻訳し、日本語だけでなく英語やフランス語、中国語など9言語での配信を実現。海外の小説投稿サイト「インクスパイアード」で読むことができる。 9月には全12話をまとめた本を日本語や英語、フランス語など7言語で自費出版した。日本語版はA5判168ページ、3850円(電子書籍版は千円)。アマゾンジャパンの通販サイトなどで購入できる。 (野津原広中)