発案はデロリアン! ポンティアックGTO(1) 「元祖」マッスルカー スポーティでヨーロピアン
信じられないほど豊富だったオプション
かなりの台数が作られたものの、グレートブリテン島でGTOは珍しい。ポンティアックを専門に扱うオートポンティアック社を営み、オーナーズクラブの中心人物であるロビン・グレイ氏を介して、所有するロバート・グリーン氏を紹介していただいた。 GTOはコンバーチブルの他に、ピラーレス・ハードトップクーペと、スポーツクーペが提供されている。最も人気が高かったのは、ピラーレス・ハードトップクーペ。コンバーチブルの人気は低かったが、それでも初年度に6644台が売れている。 「自分はいつも、マッスルカーはクーペだろうと考えてきたんですけどね」。と話すグリーンは、1989年式のシボレー・コルベットC4 ZR-1も所有する。 彼のコンバーチブルが英国へ届けられたのは、1964年4月。当初のボディカラーはカメオ・アイボリーだったが、その後グリーンやスカイ・ブルーにスプレーされ、現在のレッドに落ち着いた。 グリーンが購入したのは10年前。それ以来、運転を楽しみながら、レストアを重ねている。メカニカル的な部分は、すべて自ら仕上げてきた。ボディは、これからオリジナルのカラーへ戻すことを計画している。インテリアも、新調予定だという。 マッスルカーの魅力の1つといえるのが、オプションが信じられないほど豊富だったこと。このGTO コンバーチブルには、エアコンとパワーウインドウ、ステアリングホイール・チルト機能、パワーシートなどが盛り込まれている。
トリプルキャブで353ps 1966年に独立モデル化
V8エンジンには、ロチェスター社製の2バレル・トリプル・キャブレターが組まれている。通常は、カーター社製の4バレル・シングル。これにより、最高出力は329psから353psへ上昇している。 トランスミッションは、3速や4速マニュアルも存在したが、スーパータービン300と呼ばれた2速オートマティックもあり、これもオプションだった。1967年には、ターボ・ハイドラマティック400という名の、3速が登場している。 もう1台、ブラックの1966年式ピラーレス・ハードトップクーペは、12年前にグレートブリテン島へ上陸した移住車。アメリカのポール・トゥトゥル・シニア社によって、海を渡る前にレストア済みだ。 オーナーはニック・トロット氏で、トランスミッションは4速マニュアル。これにも、トリプル・キャブレターが組まれている。 当初、テンペスト・ルマンのオプションという設定のGTOだったが、この年から1つのモデルとして独立。フェイスリフト受け、水平に4灯並ぶヘッドライトから、片側に2灯が重なるデザインへ変更されている。 ボディの中央がくびれた、コークボトル・ラインも強調された。ピラーレスで、リアウインドウはリアピラー面より内側へレイアウトされている。ブラックのビニール・ルーフはオプション。筆者は、これが最も美しいGTOだと思う。 2台の見た目はオリジナルヘ近いものの、フロントへ組まれるディスクブレーキは例外。本来は1967年式から採用されたものだが、以前から必要性の高いアイテムといえた。 この続きは、ポンティアックGTO(2)にて。
コリン・グッドウィン(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 中嶋健治(翻訳)