鳥谷が打てない投手は? 相性で見るプロ野球
どうしてもあのピッチャーは打てない、あの球場では気持ちよく投げられる、プロ野球の世界にはさまざまな相性が存在する。一度や二度ならたまたまでも、何度か続くと苦手意識が生まれ余計に対応できなくなるもの。今回はバッターとピッチャー、球場、そして大観衆という3つの面から得意や苦手を紹介したい。
その1 バッター対ピッチャー、今年一番カモられた選手は?
野球の基本であるバッターとピッチャーの対戦。まずは今シーズン特定のバッターに打たれまくったピッチャーを見ていきたい。表1-1はバッターが好成績を残した対戦の一覧である。10打数以上対戦した組み合わせの中で最もバッターが圧倒した対戦が、銀次(楽天)vsメンドーサ(日本ハム)だ。4月8日の初対戦でいきなり3打数3安打と攻略すると、以降3試合の対戦でのすべてヒットを放ち、10打数7安打、フォーアボールも2つ選んでおり12度の顔合わせで塁に出られなかったのはわずか3回だけだった。メンドーサはこの影響もあってか楽天戦は4度登板して0勝3敗、防御率も5.23と散々な結果に終わってしまった。 2位の小谷野vs唐川は通算でも打率.423と小谷野が圧倒している。10打数未満ながら印象的な対戦がエルドレッド(広島)vs国吉(DeNA)。こちらも初対戦でいきなりエルドレッドが2本塁打を浴びせると、以降2度の対戦でもヒットを放ち打率10割でシーズンを終えた。現役選手の対戦で最も打数の多い打率10割の組み合わせは谷(オリックス)vs石井(日本ハム)だ(表1-2)。2005年の初対戦以降1四球を挟んで谷が7連続安打中で石井はまだ谷を打ち取ったことがない。エルドレッド&国吉の記録はどこまで伸びるだろうか。
一方ピッチャーが圧倒した対戦の一覧が表2-1だ。ノーヒットだった対戦で打数が一番多かったのは鳥谷(阪神)vs杉内(巨人)。レギュラーシーズンではなんと19打数の0安打、クライマックスシリーズでの対戦でも3打数ノーヒットに終わっていて今シーズンは22打数0安打という数字になった。この対戦では通算でも87打数8安打と杉内の圧勝、MLB挑戦を検討中の鳥谷だが、杉内にとっては是非日本に残ってほしい相手だ。続く対戦はジョーンズ(楽天)vs大谷(日本ハム)で15打数ノーヒット、奪三振も7と大谷に軍配。メジャー志向の強い大谷だけに、元メジャーの大打者との対戦はより気合が入ったのではないだろうか。 ほとんどが三振で終わった対戦が長谷川(ソフトバンク)vs松井裕(楽天)、西川(日本ハム)vs平野佳(オリックス)、エルドレッド(広島)vs福谷(中日)、ヘルマン(オリックス)vs五十嵐(ソフトバンク)の4例。何度対戦してもバットにも当たらないとなればバッターの苦手意識は相当なもの。来シーズン以降も尾を引きそうな組み合わせだ。初対戦から最も長くヒットが生まれていない対戦が石原(広島)vs大野(中日)。昨年の初対戦以来19打数連続ノーヒット中(表2-2)。ほとんどが三振と内野への凡打になっていてまだまだ記録が伸びそうな気配がある。 そしてほとんどバットにも当たらない対戦だったのが伊藤(オリックス)vs増井(日本ハム)だ(表2-3)。今年のレギュラーシーズン終了まで1つの送りバントを挟んで7連続三振中だったのだが、クライマックスシリーズでの対戦でついに伊藤が初ヒットを放った。1本出たことでこの2人の相性は変化するのか?来年以降に注目したい。