鳥谷が打てない投手は? 相性で見るプロ野球
その2 敵地でも問題なし。ビジターでも得意な球場は?
次に特定の球場を得意とするバッターを紹介したい。表3-1、表3-2はビジターチームの選手としてプレーした球場での成績を集計したものだ。表3-1は打率の上位10人、3-2は本塁打率(何打数に1本の本塁打を打つか)の上位10人となっている。打率上位選手で注目したいのがマートンだ。マートンは神宮での成績が抜群。他の上位選手が100打数以下での高打率となっている中、200打数を超えて4割台を記録している。 この傾向はますます強まっており、今シーズン神宮での打率は驚異の.548、OPSにいたっては1.683と、神宮に限っては全盛期のボンズを超える存在といっても過言ではない成績だ。打率上位の中では西岡、ペーニャの2人がともに得意としていた球場を本拠地とする球団に移籍した。得意としていた球場への移籍という意味で注目したいのが本塁打率で4位のロペス(巨人)。横浜では4割近い打率で8本塁打と大の得意。退団が濃厚なブランコの代役としてDeNAが獲得を検討中だが、実現すればベストフィットする可能性がある。また本塁打率1位の中村(西武)は横浜での本塁打率が5.64。これは500打数に換算すると約88本塁打を打てる計算になる。神宮でもこれに近い数字を残しており、もしセ・リーグに在籍していたらとんでもない記録が生まれたのでは、という妄想を抱かせる好成績だ。
ピッチャーにとって球場の違いはバッター以上に大きい。マウンドの合う合わないはピッチャーによっては非常に大きな影響を与える要素だ。表4-1、表4-2はピッチャーの球場別成績。最も相性のいい球場を持っているのは内海だ。2007年のフルキャスト宮城(当時)での初登板で6回1/3を無失点で勝利投手となると、続く2008年は完封、2009年にも7回無失点といまだこの球場では無失点、2010年以降の登板がないのがもったいないくらいだ。ほかで注目は沢村(巨人)。ナゴヤドームでの防御率は0.78、40イニング以上を投げてのこの数字は優秀だ。来シーズンリリーフ転向となればこの球場での登板機会も増えるだけに期待したい。 一方苦手で目立つのが最多勝投手の山井(中日)。神宮との相性の悪さは異常とも言えるレベルで、好調だった今シーズンも神宮では4回6失点と勝てなかった。岩田(阪神)の横浜、ウルフ(ソフトバンク)のQVCマリン、篠田(広島)の甲子園などもひどい数字となっており、ここまでになると登板回避も考えられる成績だ。