売上3.8倍で今1番“アツい”Bリーグ、島田チェアマンに聞いた「絶好調の秘訣」とは
改革を推し進める「2つの秘訣」
一方、こうした改革を実行するには、ステークホルダーからの反発やプロジェクトを継続して遂行する推進力の低下など、どうしても問題が発生してしまう。では、島田氏をはじめとしたBリーグはいかにして改革を遂行し、成果を出し続けているのか。 島田氏は、「信頼を得ること」と「ビジョンを打ち出すこと」の2つを挙げ、「チェアマンがリーダーシップを発揮するには、リーグに参加するクラブのオーナーに支持される必要があります」と話す。 島田氏による千葉ジェッツの経営再建という実績は、「信頼」を得るための一つの要素になった。何より、「クラブの痛み、大変さを理解している」点は各クラブからの信頼構築には欠かせない要素だろう。 ビジョンについては、「事業性を重視して、持続可能なスポーツ産業を作る、地域活性の起爆剤になるリーグを作るという理念が受け入れられた」と島田氏は述べた。今回のBリーグ改革に際しては、「クラブの経営力の強化」「日本代表の強化」「社会的大義の追求」の3つのビジョンについて「クラブのオーナーとの間で合意を得ました」と島田氏は話す。 上記の3点はときに相反する要素でもある。そのため、会議では出席者の間で紛糾することもあったようだが、「各論については、大義を持って意思決定しようとクラブが理解を示してくれたのが大きい」と島田氏は振り返る。そして、「これから先の改革は、リーグのチェアマンとして結果を積み重ねなければ信用は得られないと考えています」と島田氏は力を込める。
新シーズン開幕、島田氏が胸中を語る
今後について、島田氏は「中期経営計画では2050年に向けたビジョンも発表しました。これにより、各クラブが黒字経営を実現し、オーナーのマネーへの大きな依存から脱却してリーグもチームも成長していく大きな方向性が整備されました」とする。 あとは、計画実現のプロセスを通じ、「ファンにとっての最善や、スポンサーにとっての投資対効果のある価値、評価を勝ち得ていく必要があります」と話す。 全国で6つのアリーナを擁し、2024年10月3日に開幕する新シーズン。島田氏は「(B.革新の新ルールが適用される)2026年のファーストイヤーに向けてもう一段階、Bリーグの存在感を高める必要があります」と述べつつ、「Bリーグはまだまだ成長していけます。伸びしろがあると感じていただけるように、チェアマンとして結果を出し続けていく所存です」と前を向いた。 後編では、ファンを魅了する顧客体験の秘密やスマホ起点のデジタルマーケティング施策、データ戦略などについて、島田氏に解説してもらう。
聞き手・構成:編集部 井内 亨、執筆:フリーランスライター 阿部 欽一、撮影:濱谷 幸江