その月経不順、更年期のせいではなく体重減少や服薬が原因かも【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ⑪】
40歳を過ぎて月経が不規則になると、それが更年期の始まりのサインだと思いがち。しかし、急激な体重減少や服薬が原因のこともある。そこで、更年期世代に見られる月経不順を引き起こす意外な原因について、女性医学の専門医である小川真里子さんに伺った。
急激な体重減少に要注意。ダイエットもほどほどに!
更年期にはさまざまな症状が現れる。そのひとつに月経不順がある。今まで定期的にきていた月経が不規則になると、「いよいよ更年期か!?」と思う人も多いだろう。しかし、原因はどうもそれだけではないようだ。 「今まで周期的に排卵し、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを分泌することで起きていた月経も、卵巣の機能が衰えることで変化が表れます。 月経の間隔が不規則になったり、ダラダラと長く続いたり、あっという間に終わってしまったり…。その変化は人それぞれですが、こうした時期を経て、やがて月経が完全になくなる閉経が訪れます。 40歳を過ぎた頃に月経不順になると、『更年期ではないか?』と婦人科を訪れる人は少なくありません。しかしながら、中には更年期が原因ではないケースもあります。そのひとつが『体重減少性無月経』です。 体重減少性無月経とは、短期間に体重が減少することで起こる無月経のことです。主にダイエットで極端な食事制限をして、栄養失調の状態になると、月経が止まったり不規則になることがあります。 こうしたことは、10代~20代の若い世代に多いのですが、40代の人も結構います。30代後半くらいから体重が増えやすく、落ちにくくなるので、一念発起して始めたダイエットにハマってしまうケース、または体重にこだわりすぎることから起こる摂食障害も考えられます」(小川先生) 3カ月~6カ月以内に元の体重から15~20%以上減少し、BMIが18以下になった場合は注意が必要だ。 ※BMI(体格指数)=体重(kg)÷(身長m)2 身長にもよるので一概には言えないが、例えば70㎏の人が20%減らして56㎏になっても無月経にはなりにくいのだが、55㎏の人が44㎏になると少し危険かもしれない。 「急激に体重が減ると、その危機的な情報が脳に伝わり、生命維持を最優先に考えて、月経を起こすホルモンの分泌を抑制するのです。妊娠することは体にとても負担になるので、体の安全を守るための生体反応といえます。 その無月経もしくは月経不順が、更年期によるものなのか、体重減少によるものなのかは、血液検査でわかります。 血液中の卵胞刺激ホルモン(FSH)値と黄体形成ホルモン(LH)値がともに上昇している場合は、卵巣機能が低下しているとして、更年期と判断します。 一方で、このふたつの値が低く、最近、急激に痩せた事実があるか、BMI値など総合的に考慮して体重減少性無月経と判断します。 体重減少性無月経の場合の治療は、標準体重の90%くらいの体重に戻すことが先決になります。体重が増えれば、月経も戻ってくるはずです。 私のところに来た患者さんの中には、筋肉をつけようと鶏の胸肉ばかり食べている人もいました。その人は貧血の症状もありました。同じタンパク質をとる場合でも、赤身の肉や魚のマグロなど、鉄分の多いものもとらないと鉄不足になります。こうした栄養バランスの偏りでも、体に悪影響が表れます」 最近はさまざまな食事療法が提唱されているが、極端に走らないことも大切かもしれない。