オフプライスストアは一日にしてならず 百貨店参入組はまだ発展途上【鈴木敏仁USリポート】
既述の通り、成否はもちろん調達力にあるだろう。勘違いしている業界人が少なくないが、OPSはそもそもアパレル店舗の見切りを調達して売るのではなく、メーカーや卸といった上流での過剰在庫を調達するビジネスモデルである。ノードストロムとメイシーズはこれに自らの店頭の過剰在庫をミックスさせており、これがTJマックスやロスといった専業リテーラーとの相違となる。
TJマックスの強さはひとえにこの調達力にあるとされている。工場など絶えず現場をまわらなければならない、その場で決済しなければならないので通常では高い職位が持つような権限を現場に持たせている等々、激務と重い責任でバイヤーの離職率が高いという話も聞いたことがある。
こういったクローズアウトのノウハウでノードストロムとメイシーがTJマックスを凌駕できるのかどうかである。 メイシーズは今年初頭に本社人員13%(2350人)のレイオフと5店舗の閉鎖を発表している。また昨年には投資企業からの買収提案を受けて、リストラ発表と同時期に拒否したことを明らかにしている。投資企業によるバイアウトのターゲットとなるのは決してほめられたことではなく、業績が不安定な証左である。
ノードストロムは第3四半期の時点の9ヶ月間で減収減益、既存店成長率の公開をやめてしまっているのだが投資アナリストはマイナスだろうという見方をしている。
デパートメントストア業態はながらく構造不況と言っても良い状態で、各社ともに様々な施策を打ってきているが、爆発力のある新たな何かを見いだせずに来ている。バックステージの単独店舗を見て、強さよりも弱さを感じてしまったのは私だけではないだろう。