オフプライスストアは一日にしてならず 百貨店参入組はまだ発展途上【鈴木敏仁USリポート】
TJマックスは別業態としてホームグッズと呼ぶホームファッションのOPSを展開している。アパレルとホームファッションのクローズアウト商品のソーシングは重なっており、もともとTJマックス店内にもホームファッションや雑貨をそろえていることもあって、ホームグッズのみを扱う別フォーマットの開発は自然の成り行きだった。
今回ダラスで訪問した店舗は、広い面積を確保し入り口を2つ作り、看板も2つ掲げているので表から見ると別々の店舗なのだが、中はつながっていて、レジも1つにまとまっているタイプである。数は少ないのだがこのタイプはどこも繁盛していることが多く、ダラス店舗の一人勝ちはそのせいもあったかもしれない。
ただ、それだけではなく、時間に制限があり品ぞろえや価格などの調査はできなかったが、おそらく調達力の違いが客数に表れているのではないかと私は理解した。またバックステージとロスの売り場の作り方はほぼTJマックスのコピーなのだが、訴えるような何か感じなかったのは、店員の覇気のなさや客数の少なさによるにぎわいの欠落などが影響していたのかもしれない。
1店舗だけで全てを理解した気になるのは危険だが、バックステージの独立店舗は厳しそうだなと私は感じたのであった。
この別フォーマットとしてのOPSはノードストロム(NORDSTROM)もノードストロム・ラック(NORDSTROM RACK、以下ラック)という名称で展開している。昨年末の時点で本体93店舗、ローカル6店舗、ラック258店舗、ラストチャンス2店舗で、店舗数は圧倒的にラックが多い。売上高ベースでは22年度末の時点で、本体68%、ラック32%と、まだ本体がマジョリティーを占めているが、本体の新店は凍結する一方でラックを増やす戦略を取っているので、ラックの比率は今後さらに上がっていくことになる。
オフプライスストアの鍵を握る調達力
ノードストロムもメイシーズもこのOPS別フォーマットとのカニバライズを否定している。顧客層が異なる、前者は新規顧客の獲得ソースにつながっている、本体内に展開している後者はクロスショッピングによって客単価向上に寄与している等々、ポジティブな発言をしているのだが、ネガティブな見解を表明する専門家は少なくない。