AIとアルゴリズムでは及ばない“投資”で勝つ秘訣 投資に関してAIは人間の認知能力に追いついてない
ただ、一人の人間が1000社以上の会社すべてを見ていくことはできないじゃないですか。ファンドのパフォーマンスを安定的かつ好成績にするためには、多数の投資アイデアに分散投資したいと考えており、足で稼ぐなどして情報収集し、投資アイデアをひねり出せる人間を何人か配置して、アイデア数を増やしていくことが重要かなと思います。一人であってもある程度稼げる可能性はあるんですけど、投資のアイデアが限られてしまって失敗する可能性もあります。
■人間の強みを引き出し、弱みをカバーする たとえば、一人でやると、投資アイデア数が多くは出せないので一つ一つの投資のアイデアの成功・失敗によってポートフォリオ全体のPL(損益)がブレるんですよね。何人かでやると、投資アイデア数が増やせるのでブレが相殺されて、PLが安定化するんですよ。 そうすると人間の能力の良さを引き出しながら、人間の弱みである情報処理能力の機械対比の低さを補うことができるので、機械に勝てる可能性が高まる、と考えています。
後藤:あえて人間的な取引の仕方を重要視されているんですね。定量的な、機械的な投資戦略を採用なさると考えていました。 宇根:かつてそういった(定量的な)手法をやろうと思ってもうまくいかずに挫折したんですよね。ましてや今はインベストメントLabという小さな組織を作って少ない資本で設備投資がそれほどできない中で、どうやって機械(大規模な設備投資をして計算環境を整えた定量的手法を用いる大手ファンドなど)に勝つか。我々の組織に揃ってくれた人材にやる気があるのであれば、人の認知能力を応用する手法が一番いいのかなと。
後藤 達也 :ジャーナリスト/宇根 尚秀 :インベストメントLab株式会社代表取締役