今から始める「暑熱順化」で熱中症のリスク減少 入浴も有効 日常生活で暑さに強い体づくり【岡山・香川発】
季節先取りの暑さになることのある時期に注意したいのが「熱中症」だ。今の時期から始めてほしい熱中症対策「暑熱順化」について取材した。 【画像をもっと見る】熱中症の救急搬送者数は7月・8月のピークを前に5月から増加
5月から増加する熱中症
街で聞こえたのは、「汗ばむ…暑い!」という声。 6月上旬並みの暖かさとなった5月14日の岡山・津山市。路上の空気がゆらめく陽炎(かげろう)が現れた。気温が急激に上昇する5月。注意してほしいのが熱中症だ。 岡山市消防局管内の熱中症救急搬送者数(2019年から2023年)のグラフを見ると、熱中症のピークは例年7月・8月だが、5月から増加していることが分かる。 夏本番までにできる熱中症対策として今注目されているのが、体を暑さに慣らす「暑熱順化」だ。 目的は汗をかきやすい体をつくること。熱中症は体内にこもる熱が原因となるが、発汗により熱の放出を促すことができるためだ。
消防隊も訓練 夏の災害現場に備える
真夏の炎天下でも重装備で人命救助に当たる消防隊では、隊員を熱中症から守るため、「暑熱順化」に特化した訓練が行われている。 岡山市消防局警防部警防課 今田健介消防司令補: 消防隊員は、夏場の暑い環境下でも防火服を着ていくので、非常に熱ストレスを受けやすく、熱中症になるリスクが非常に高い。夏を迎えるこの時期から暑さに耐えられるよう、暑熱順化訓練をやっている 隊員は、普段の活動時に着用する防火服の下に雨がっぱを着用。この状態で約40分間、ランニングする。 岡山市消防局警防部警防課 今田健介消防司令補: 熱順化訓練で汗をかきやすい体を作ることが、熱中症には効果的 隊員たちは、「暑熱順化訓練は非常にタフな訓練だが、夏場の災害現場はこれ以上に暑くなる。今からしっかり暑さに慣れるための体を準備していくことが重要」「自分たちが倒れてしまっては、要救助者を救えない。自分たちが暑さに慣れて有効な活動ができるよう心がけていきたい」と話していた。
“汗をかく習慣”が暑熱順化に有効
この暑熱順化は、日常生活でも取り入れることができる。 日本気象協会が推奨しているのが、軽く汗をかく運動だ。 ウォーキングや湯船にゆっくり漬かるなど、汗をかく習慣を心掛けることが「暑熱順化」に有効だという。 5月10日に消防庁が発表した全国の熱中症による救急搬送人数は664人で、2023年の同じ時期に比べて約1.6倍に増加している。「暑熱順化」には個人差もあるが、数日から2週間程度かかる。 本格的な夏を前に、暑さに強い体づくりで熱中症のリスクを減らそう。 暑熱順化のために運動する際は、水分・塩分補給を忘れないように。また、激しい運動をする必要はなく、無理のない範囲で行う。 暑いと感じたら、エアコンを使用するようにしよう。 (岡山放送)
岡山放送