中国中銀、数千億元の国債売却枠を準備-金融機関と借り入れ契約
(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)は5日、「数千億元」相当の中長期債を自由に借り入れられる契約を複数の主要金融機関と締結したことを明らかにした。記録的な相場上昇の抑制を目指し、国債売却に向けた次の一歩を踏み出した格好だ。
中銀の意向を巡り投資家の間で数カ月にわたり臆測が続いていた中、人民銀は5日にブルームバーグ・ニュースに宛てた文書で前例のない計画について概要を示した。
人民銀は、債券を制約なく無担保で借り入れ、市場の状況に応じて売却するとしている。
同文書に先立ちブルームバーグは、人民銀が国債借り入れで中国工商銀行と契約したほか、中国郵政銀行とも協議中だと関係者の話を引用して報じていた。
オーバーシーズ・チャイニーズ銀行(OCBC)のストラテジスト、フランシス・チュン氏は、「数千億元という金額は、金融オペレーションとしては妥当な額だ」と述べ、「現在の債券の強気相場を考えれば、中長期債を売却する中銀の意向はわれわれの予想通りだ」と付け加えた。
中国の国債相場は今年、景気見通しの暗さや利下げ観測を背景に大幅上昇している。魅力ある代替投資先がない中で、貯蓄から金融投資へのシフトで需要が高まっている上、財政刺激策強化のための政府借り入れの増加でも買い手を遠ざけるには至っていない。
これに対応し、人民銀は値上がりの抑制に取り組んでおり、相場が反転すれば損失を被る恐れがあると投資家に警告。過度に低い利回りが金融の安定を脅かし人民元の重しになるとみている。
人民銀は今週、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)から国債を借り入れると発表した。国債の値上がりを落ち着かせるため、国債売却を検討している可能性を示唆したと受け止められ、指標の国債利回りは過去最低から持ち直している。
ブルームバーグの集計データによると、中国の10年債利回りは5日に1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し2.25%強で取引され、1日に付けた過去最低の2.18%から上昇した。