上白石萌歌×森田想×加藤拓也監督『滅相も無い』インタビュー 演劇と映像が交差する意欲作の舞台裏を語る
◆加藤さんから見たお2人の印象は? 加藤:そういう話したことないね。 森田:確かに、聞いたことないかもしれないです。 上白石:怖いけど、聞いてみましょう。 加藤:もりここ(森田)とは2回目なのですが、言語感覚がすごく近い感じがしていて、しゃべりやすいです。それは萌歌ちゃんも一緒で、自分と言語感覚が近い人と一緒にお仕事ができるといいなと思ってやっているので、そういう意味では2人ともぴったりだったのかなと思います。 ◆現場ではいかがでしたか? 加藤:もりこことは2年ぶりに一緒になって、しかも作品のクランクインがもりここだったんですよ。全体的にもちょっと手探りな緊張感が走る中やっていたんですけど、楽しそうにやってくれてよかったなみたいな。マインドが強いので、楽しそうにやってくれていました。基本的に楽しく、みんながやれたらいいなというのは常にあって。そして、萌歌ちゃんでクランクアップだったんです。 上白石:松岡は過労で精神的にグラグラしている極限状態から始まるので、ちょっと普通に寝ちゃいけない気がしてソファや床で2時間ぐらい浅めに寝るようにしたら、加藤さんに、「いや、寝たら?」って言われて(笑)。 加藤:寝た方が健康だからね。そんなこともありました。 ◆お2人それぞれ演じる上で難しかったところはありましたか? 上白石:終始ずっとバクバクしていました。モノローグと実際の会話の切り替えがはっきりしている作品なので、このせりふは今誰に言っているのか、自分に言ってる言葉なのかもしれないし、その会合にいる人に言っているかもしれないし、本当にモノローグとして言っているのかもしれない。そういったベクトルを自分できちんと分かっていないといけなかったので、そこの言葉の感覚がすごく難しかったです。 森田:そのモノローグを言っていた独白がカメラ目線で言わなきゃいけない。というよりも、演出上カメラ目線で言うようになっていたので、話している相手にしゃべっていたのに、カメラに向かなきゃいけないみたいな切り替えというのがすごく重い作業で…。 上白石:お芝居をしていてカメラ目線ってなかなかないよね。 森田:脚本を読んだ時点で、「これは絶対にカメラ目線だ」と分かって、すごくのしかかってきたのを覚えています。個人的にはバレエをやっている役だったので、実際にバレエをしている風景を撮るシーンよりも、それ以外のシーンでバレエをやっていた人の姿勢になれているだろうかと、見え方に少し不安というか、意識することが難しかったです。