大阪桐蔭の監督・西谷浩一らと「話し合いをすべきだと思う」高校野球で“ある変化”…花咲徳栄の名将・岩井隆が語る「野球が絶対の時代ではない」
名将の本音「やんちゃな子たちを育てたい」
岩井が初めて甲子園に導いた2001年時は、監督の言った通り、徹底することが強いチームになると考えて指導していた。監督が言ったこと以外やってはいけない怖さがチームを成長させていた。 「しかし、それでは夏を勝てないという時代が10年くらい続いたんですよね。10年ぶりに夏の甲子園に行っても大敗。そこで、緊張感のある舞台で監督の指示なんか聞いて動いているようじゃいけない、自分たちで考える集団を作っていく必要があるな、と。自立に舵を切って、夏型のチームにするようになったんです」 そう考えると、慶応のような選手たちとプレーする方が得策に見える。「型」がすでにできあがっている選手たちで頂点を目指す方が近道だ。しかし、岩井の人生観はそれとは異なる。そこには当然、学校の風土も関係する。 「うちにもオール5で勉強で入学した子もいます。ひょっとしたら俺より知識があるんじゃないか、というような子はいますけど、自分がそうだったように、少しやんちゃな子たちを育てたいというのはあるんですよ。校風、校訓がチームの方針を決めているというのもある。監督の考えでやることじゃない。うちは道徳の学校という理想を打ち出していて、みんなで支え合うことが教育の原点である、と初代校長から言われてきました」
「髪の毛を気にする余裕はない」
私学であればどんな選手でも獲得できるように思われがちだが、公立であれ、私学であれ、学校には校風があり、学校教育の中で果たすべき役割が存在する。慶応には慶応のやり方があるように、花咲徳栄にも、他の学校にも、それぞれのアプローチがある。 「坊主がいいとか悪いとか、そういう論争にはなってないんですよ。全校生徒1800人の代表としてみんなが甲子園に応援に行けるかどうかはお前たちにかかってるんだという話をしたら、髪の毛を気にする余裕はないんですよ」 指導する監督、先生は、それぞれの学校の風土にあった指導に努めるのが最大の務めで、世間のトレンドに左右されることはない。「髪型の自由」や「楽しさが必要だ」といった考え方は理解できても、みんながそれをすべきという「0か100か」の考え方を押し付ければ、高校野球本来の良さが損なわれるという岩井の考えには大いにうなずける。
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