「勝者不在の戦い」となった“エジル騒動”を振り返る
ピッチ内でドイツの敗因を突き止めるのは限界がある。
写真の件について5月に当人たちと話し合いの場を持ったDFB(中央がグリンデル会長)だが、なんの善後策も取らず、騒動に拍車を掛ける結果に……。(C)Getty Images
自ら蒔いた種だったとしても、エジルの代表引退表明には後味の悪さが残る。W杯でただ惨敗を喫しただけでなく、その後も尾を引き続ける“勝者がひとりもいない戦い”。社会問題にまで発展した騒動の経緯を振り返る。(文:ルドガー・シュルツェ/訳:安藤正純 2018年8月2日発売ワールドサッカーダイジェスト『ザ・ジャーナリスティック ドイツ』を転載) ―――◆―――◆――― ロシア・ワールドカップにおけるドイツの早期敗退は、最大級の恥辱と言っていい。世論は原因究明に躍起となり、目下のところ、ある人物の思慮に欠けた行動がチーム全体の不調を誘発させたとする意見が大勢を占めている。これまで不動の司令塔を務めてきたメスト・エジルの行動だ。 大会を通してベストのパフォーマンスを演じられなかったエジルは、グループリーグの突破がかかった最後の韓国戦で多くのミスパスを出し、チームを危機的な状況に
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