あなたは自分に自信がありますか?
自信を感じている社長と感じ切れていない社長
某社の社長とのエグゼクティブ・コーチングの時間で、社長が普段人には話さない心の内を聞かせてくださいました。 「これまでの自分は恵まれていて、様々な経験をしてきた。一定の成果を出してきた自負もある。けれど、何か見落としていることがあるのではないか? このまま突き進んだら、うまくいかないことがあるかもしれない。そこに自信がもちきれない」 そこで、社会人になってからどのように山を越え、谷を歩いてきたのか、その時に大切にしていた価値観や信念は何かなどを二人で話しながら、社長の歴史を紐解いていきました。その話を聞いて私が感じたことをお伝えすると、その方が晴れやかな表情でおっしゃいました。 「自分では無意識にやってきたことだが、私の人生がコーチにはどのように見えるのかを聞いて、自分がこの仕事を選んだ軸、その後のキャリアで大切にしてきた価値観、信条、そして自分らしさ、それが社長として今の自分の意思決定にどうつながっているかが見えた気がした。今日ここまでやってきた自分に対して自信が増しました」 それを聞いた私が、 「先週までのA社長と今日のA社長とで、実際に何かスキルや経験が増えたわけではありません。自分の軸がはっきりし、自分への信頼感が増したことは、社長としてのAさんやあなたの会社にどう影響しますか?」 と問いかけると、A社長は言いました。 「就任後、様々な取り組みを行ってきました。社員にもたくさんのメッセージを伝えてきた。もしかすると、明日も私が語る言葉は同じかもしれないが、伝えられる思いや熱量が変わると思う」 そうおっしゃったA社長は、身長が1センチ伸びたように見えました。
自分について振り返る回数と自信の関係性
右の図は、コーチング研究所が実施した「直属の上司が部下のために時間を取って話す回数と個人の状態の関係性」に関する調査結果です。 この結果を見ると、上司と部下の間で、部下が自分自身について話す時間が多いほど、部下のいい仕事をしていく自信が高いことがわかります。社長の場合は「上司」は存在しませんが、エグゼクティブ・コーチがその役割を担えるかもしれません。 上司であれ、コーチであれ、誰かと定期的に対話を重ね、積み上げてきた自分の歴史について紐解き、そして未来に向けて一歩を踏み出す準備をする。そのような時間が「自信」につながっていくのかもしれません。 あなたは自分に自信がありますか? あなた自身について知っていくための対話を始めませんか?
大場幸子(コーチ・エィ)